63 歳の男性。健診で心雑音を指摘され来院した。ジョギングの運動習慣があるが、息…
63 歳の男性。健診で心雑音を指摘され来院した。ジョギングの運動習慣があるが、息切れなどの自覚症状はない。身長166 cm、体重62 kg。体温36.2 ℃。脈拍68/分、整。血圧114/80mmHg、左右差なし。呼吸数16/分。SpO2 97 %(roomair)。頸静脈の怒張を認めない。心音は心尖部を最強点とするLevine 2/6 の汎〈全〉収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常は認めない。下腿浮腫を認めない。血液所見:赤血球445 万、Hb 14.7 g/dL、Ht 41 %、白血球6,100、血小板22 万。血液生化学所見:総蛋白6.9 g/dL、AST 25 U/L、ALT 24 U/L、LD 164 U/L(基準124~222)、CK 110 U/L(基準59~248)、尿素窒素21 mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、eGFR 60 mL/分/1.73 m²、 血糖104 mg/dL、Na 136 mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 110 mEq/L、BNP 15 pg/mL(基準18.4 以下)。CRP 0.2 mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。心エコー検査で左室駆出率68 %、左室の拡大は認めない。カラードプラ心エコー図の心尖部二腔断面像(別冊No. 18A)と12 誘導心電図(別冊No. 18B)とを別に示す。適切な対応はどれか。
- ⑴ 僧帽弁置換術無症状で左室機能・サイズも正常のため、現時点で手術の適応はありません。
- ⑵ β 遮断薬内服心不全症状や頻脈性不整脈がなく、β遮断薬を開始する理由はありません。
- ⑶ ワルファリン内服洞調律で心房細動はなく、抗凝固療法の適応はありません。
- ⑷ 心臓カテーテル検査侵襲的な心臓カテーテル検査は、手術を検討する段階で行うものです。
- ⑸ 定期的な心エコー検査無症候で左室機能が保たれた僧帽弁閉鎖不全症は、心エコーで定期的に経過観察します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。心尖部の全収縮期雑音とカラードプラ所見から僧帽弁閉鎖不全症と考えられます。本例は無症状で運動習慣もあり、左室駆出率は68%と保たれ、左室拡大もなくBNPも正常です。弁膜症治療ガイドラインでは、無症候性の慢性僧帽弁閉鎖不全症で左室機能低下や左室拡大、心房細動、肺高血圧がない場合、手術の適応はなく、定期的な心エコー検査で逆流の程度と左室の大きさ・機能を経過観察します。心電図にも特記すべき異常はないと考えられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成