78 歳の男性。歩行時の左下肢疼痛を主訴に来院した。4 か月前から約300 m …
78 歳の男性。歩行時の左下肢疼痛を主訴に来院した。4 か月前から約300 m の歩行で左下肢の痛みを自覚するようになり、立ち止まって休憩すると消失していた。最近痛みのため徐々に歩行可能距離が短くなった。60 歳時から糖尿病と脂質異常症に対して定期的な投薬治療が行われている。喫煙は20 歳から60 歳まで20本/日。飲酒は機会飲酒。意識は清明。身長168 cm、体重65 kg。体温36.2 ℃。脈拍80/分、整。右上肢血圧160/90mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96 %(room air)。足関節上腕血圧比〈ABI〉は右側で0.96、左側で0.68 であった。左大腿動脈から逆行性に造影した骨盤部の動脈造影の連続写真(別冊No. 10A、B)を別に示す。研修医と指導医の会話を以下に示す。指導医:「この患者さんの発症時の症状をどう表現しますか」研修医:「①間欠性跛行だと思います」指導医:「この疾患の疫学で何か知っていますか」研修医:「②我が国では最近増加傾向にあります」指導医:「病変がある部位はどこですか」研修医:「③左総腸骨動脈だと思います」指導医:「この疾患の保存的治療としてどのようなものが考えられますか」研修医:「④ワルファリン投与を考えます」指導医:「侵襲的治療として、外科的血行再建術以外に、どのようなものが考えられますか」研修医:「⑤血管内治療を考えます」下線部のうち、誤っているのはどれか。
- ⑴ ①下線部は正しいです。歩行で痛み、休むと消失する症状は間欠性跛行です。
- ⑵ ②下線部は正しいです。高齢化や糖尿病の増加で、わが国の末梢動脈疾患は増加傾向です。
- ⑶ ③下線部は正しいです。造影所見と左側のABI低下から左総腸骨動脈病変と考えられます。
- ⑷ ④これが誤りです。保存的治療は抗血小板薬や運動療法で、ワルファリンは用いません。
- ⑸ ⑤下線部は正しいです。腸骨動脈病変にはステント留置などの血管内治療が広く行われます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。喫煙歴と糖尿病・脂質異常症を持つ高齢男性で、歩行で下肢痛が生じ休むと消失する間欠性跛行を認め、左ABIは0.68と低下しており、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)と考えられます。わが国では高齢化や生活習慣病の増加に伴い増加傾向です。保存的治療は危険因子の管理、運動療法、アスピリンやシロスタゾールなどの抗血小板薬であり、ワルファリンは推奨されません。侵襲的治療には血管内治療と外科的血行再建があります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-01.html)を加工して作成