53 歳の男性。右眼の視力低下を主訴に来院した。2 か月前から右眼が見えにくくな…
53 歳の男性。右眼の視力低下を主訴に来院した。2 か月前から右眼が見えにくくなり、様子を見ていたが改善しないため来院した。多忙のため、20 年来、医療機関を受診していない。意識は清明。身長172 cm、体重68 kg。体温36.2 ℃。脈拍72/分、整。血圧162/90mmHg。視力は右が眼前手動弁(矯正不能)、左0.1(0.6× -3.0 D)。眼圧は右18mmHg、左20mmHg。両眼の前眼部に異常を認めない。右の眼底は透見不能である。左の眼底写真(別冊No. 31A)と蛍光眼底造影写真(別冊No. 31B)とを別に示す。尿所見:蛋白2 +、糖4 +、ケトン体(-)、潜血(-)。血液生化学所見:総蛋白5.9 g/dL、アルブミン3.3 g/dL、尿素窒素20 mg/dL、クレアチニン1.3 mg/dL、血糖255 mg/dL、HbA1c 11.4 %(基準4.9~6.0)。まず行うべき治療はどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 白内障手術前眼部に異常はなく白内障は問題となっていないため、白内障手術は不要です。
- ⑵ 汎網膜光凝固増殖糖尿病網膜症の進行を抑えるため、汎網膜光凝固を行います。
- ⑶ 血糖コントロール網膜症をはじめとする合併症の進行を抑えるため、血糖コントロールが必要です。
- ⑷ ステロイドパルス療法ステロイドパルス療法は視神経炎などに用いる治療で、糖尿病網膜症には用いません。
- ⑸ 副腎皮質ステロイド点眼ステロイド点眼はぶどう膜炎などに用いる治療で、糖尿病網膜症には用いません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵と⑶です。20年間未治療の糖尿病で、HbA1c 11.4%と血糖コントロールは極めて不良です。右眼は眼底が透見できず硝子体出血が考えられ、左眼の眼底写真と蛍光眼底造影は本文から確認できませんが、新生血管や広範な無灌流域が想定され、増殖糖尿病網膜症と考えられます。新生血管の進展を抑えるため汎網膜光凝固を行い、全身的には血糖コントロールを行います。ただし血糖を急激に下げると網膜症が一時的に悪化することがあるため、緩徐な改善を図ります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成