75 歳の女性。介護老人保健施設に入所中で、寝たきりの状態である。嘔吐と発熱を主…
75 歳の女性。介護老人保健施設に入所中で、寝たきりの状態である。嘔吐と発熱を主訴に救急車で搬入された。昨日午後10 時に嘔吐と38 ℃台の発熱が出現した。本日午前7 時に、頻呼吸となったため、施設の職員が救急車を要請した。脳梗塞の既往があり左片麻痺を認める。意識は清明。身長143 cm、体重38 kg。体温38.4 ℃。心拍数108/分、整。血圧76/48mmHg。呼吸数20/分。SpO2 97 %(roomair)。皮膚は湿潤。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内は乾燥している。咽頭に発赤を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右肋骨脊柱角叩打痛を認める。尿所見:蛋白1 +、糖(-)、ケトン体(-)、潜血2 +、沈渣に白血球多数/HPF を認める。血液所見:赤血球368 万、Hb 12.4 g/dL、Ht 40 %、白血球12,800、血小板20 万。血液生化学所見:総蛋白7.8 g/dL、アルブミン3.8 g/dL、CK 322 U/L(基準41~153)、尿素窒素20 mg/dL、クレアチニン0.8 mg/dL、血糖182 mg/dL,Na 131 mEq/L、K 4.8 mEq/L、Cl 96 mEq/L。CRP 15 mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.49、PaCO2 29 Torr、PaO2 84 Torr、HCO3⁻21 mEq/L。腹部単純CT(別冊No. 30)を別に示す。輸液と昇圧薬投与を開始した。次に行うべき治療はどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 血液透析腎機能は保たれており、血液透析の適応はありません。
- ⑵ 抗菌薬投与敗血症性ショックを伴う腎盂腎炎であり、速やかな抗菌薬投与が必要です。
- ⑶ 右腎摘除術右腎摘除術は侵襲が大きく、ドレナージで改善が見込める本例の初期治療としては不適切です。
- ⑷ 右尿管結石摘出術感染のある状態での結石摘出術は敗血症を悪化させるおそれがあり、ドレナージを優先します。
- ⑸ 右尿管ステント留置術尿管ステント留置で閉塞を解除し、感染尿をドレナージする必要があります。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵と⑸です。寝たきりの高齢女性が、発熱、嘔吐、右肋骨脊柱角叩打痛、膿尿を呈し、血圧低下を伴うことから、敗血症性ショックを伴う急性腎盂腎炎と考えられます。CTは本文から確認できませんが、右尿管結石と水腎症が想定され、尿路閉塞を伴う複雑性(閉塞性)腎盂腎炎です。抗菌薬を速やかに投与するとともに、尿管ステント留置や腎瘻造設による緊急の尿路ドレナージを行います。結石の除去は感染が治まってから待機的に行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成