69 歳の男性。もの忘れを主訴に来院した。3 か月前に昼食中に急に声を上げたため…
69 歳の男性。もの忘れを主訴に来院した。3 か月前に昼食中に急に声を上げたため家族が様子を見に行ったところ、座ったまま動かなかった。約3 分経過して「大丈夫」だと返答するようになったが、その後もしばらく反応が鈍かった。翌日以降は以前と変わりがなかったが、1 週間前から最近の出来事を家族が質問しても正しく答えることができないことが複数回あったため家族とともに受診した。意識は清明。改訂長谷川式簡易知能評価スケールは正常であったが、3 か月前のエピソードの記憶は全くないという。神経診察で異常を認めない。頭部MRI で異常所見は認めない。脳波検査で左側頭部に鋭波を認める。この患者で認めるのはどれか。
- ⑴ 音過敏音過敏は顔面神経麻痺や片頭痛などでみられ、側頭葉てんかんの典型的な症状ではありません。
- ⑵ 閃輝暗点閃輝暗点は片頭痛の前兆で、本例とは合いません。
- ⑶ 口部自動症側頭葉てんかんの焦点意識減損発作では、口をもぐもぐさせるなどの口部自動症がみられます。
- ⑷ 静止時振戦静止時振戦はParkinson病の症状で、本例とは合いません。
- ⑸ 線維束性収縮線維束性収縮は筋萎縮性側索硬化症など下位運動ニューロン障害の所見です。
解説
正解は⑶です。急に声を上げた後に動作が止まり、数分間反応が乏しく、その間の記憶がまったくないというエピソードと、脳波での左側頭部の鋭波から、側頭葉てんかん(焦点意識減損発作)が考えられます。高齢発症のてんかんでは、もの忘れなどの記憶障害を伴うことがあります。側頭葉てんかんの発作では、口をもぐもぐさせる、舌なめずりをするといった口部自動症や、手で衣服をまさぐる自動症がみられるのが特徴です。抗てんかん薬で発作を抑えると記憶障害の改善も期待できます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成