52 歳の男性。人間ドックの上部消化管造影検査で異常を指摘され来院した。自覚症状…
52 歳の男性。人間ドックの上部消化管造影検査で異常を指摘され来院した。自覚症状はない。身長165 cm、体重60 kg。脈拍72/分、整。血圧124/76mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。上部消化管内視鏡検査を施行したところ、萎縮性胃炎を認め、迅速ウレアーゼ試験は陽性であった。Helicobacter pylori の除菌をしたことはない。①ペニシリン系抗菌薬、②マクロライド系抗菌薬、および③酸分泌抑制薬の内服による除菌療法を提案したところ、「除菌を是非お願いしたいが、子供のころに呼吸が苦しくなって救急車で運ばれ入院し、ペニシリンアレルギーであろうと言われた」という申し出があった。この患者へ除菌療法を行う際、現時点の対応で適切なのはどれか。
- ⑴ ①②③の服用アナフィラキシーの既往が疑われる状況で、ペニシリン系を含む3剤を服用するのは危険です。
- ⑵ ②のみ服用マクロライド系抗菌薬単剤では除菌効果が不十分で、耐性菌を生む原因にもなります。
- ⑶ ③のみ服用酸分泌抑制薬のみでは除菌はできません。
- ⑷ 迅速ウレアーゼ試験の再検査迅速ウレアーゼ試験はすでに陽性で、感染は確認されており、再検査は不要です。
- ⑸ ペニシリンアレルギーの精査アナフィラキシーの可能性があるため、まずペニシリンアレルギーの精査を行い、安全な除菌法を選択します。
解説
正解は⑸です。Helicobacter pylori陽性の萎縮性胃炎で除菌の適応がありますが、患者は小児期に呼吸困難で入院し、ペニシリンアレルギーの可能性を指摘されています。アナフィラキシーの既往が疑われる場合、アモキシシリンを含む標準的な除菌療法をそのまま行うのは危険です。一方で、根拠が不確かなまま「ペニシリンアレルギー」とされている例も多いため、現時点ではまずアレルギーの精査(病歴の詳細な確認や専門医による評価)を行い、その結果に応じてペニシリンを含まない除菌レジメンなどを選択します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成