1 歳の女児。コイン型リチウム電池を飲み込んだかもしれないため両親に連れられて来…
1 歳の女児。コイン型リチウム電池を飲み込んだかもしれないため両親に連れられて来院した。1 時間前に、母親が台所で家事をしているときに足元で遊んでいた。患児がオエっと吐きそうになっているところに母親が気付き、取り出そうとしたが、何かを飲み込んでしまったという。近くにキッチンタイマーが落ちており、蓋が開いてコイン型リチウム電池が一つなくなっていた。来院時は、意識清明で機嫌はよく笑顔がみられ、咳嗽、流涎および嘔吐は認めない。脈拍120/分、整。呼吸数24/分。SpO2 98 %(room air)。皮膚色は良好で、チアノーゼを認めない。口腔内や咽頭に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。まず行う対応はどれか。
- ⑴ 動脈血ガス分析呼吸状態は安定しており、動脈血ガス分析を最初に行う必要はありません。
- ⑵ 上部消化管造影検査造影剤の誤嚥の危険があり、電池の位置確認には単純エックス線撮影で十分です。
- ⑶ 胸腹部エックス線撮影電池の位置を迅速に確認し、食道停滞の有無を判断するため、まず胸腹部エックス線撮影を行います。
- ⑷ 上部消化管内視鏡検査内視鏡は位置を確認した後、食道内にある場合などに緊急で行います。
- ⑸ 自宅での経過観察を指示食道に停滞すると短時間で重篤な損傷を起こすため、確認せずに自宅で経過観察するのは危険です。
解説
正解は⑶です。コイン型リチウム電池は、食道に停滞すると粘膜に接した部分で電流が流れて水酸化物が生じ、短時間(数時間以内)で潰瘍や穿孔、気管食道瘻、大動脈食道瘻などの重篤な損傷を起こします。そのため無症状でも、まず胸腹部エックス線撮影で電池の位置を確認します。電池は二重の輪郭(double ring sign)として描出されます。食道内にあれば緊急で内視鏡的摘出を行い、胃内にあれば状況に応じて摘出や経過観察を判断します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成