18 歳の男子。前胸部痛を主訴に来院した。1 週間前から胸部圧迫感と息切れが出現…
18 歳の男子。前胸部痛を主訴に来院した。1 週間前から胸部圧迫感と息切れが出現し、徐々に増悪したため受診した。臥位になるとさらに悪化する。体温37.5 ℃。脈拍88/分、整。血圧110/72mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96 %(roomair)。両側の胸部で呼吸音の減弱を認める。血液所見:赤血球502 万、Hb 15.2g/dL、Ht 45 %、白血球9,800、血小板26 万。血液生化学所見:総ビリルビン0.6mg/dL、AST 42 U/L、ALT 9 U/L、LD 768 U/L(基準124~222)、CEA 1.6ng/mL(基準5 以下)、CA19-9 49 U/mL(基準37 以下)、α-フェトプロテイン〈AFP〉200ng/mL(基準20 以下)、hCG 82.6 mIU/mL(基準0.7 以下)。免疫血清学所見:CRP 4.8 mg/dL、抗アセチルコリン受容体抗体0.1 nmol/L(基準0.2 以下)。胸部エックス線写真(別冊No. 12A)と胸部単純CT 冠状断像(別冊No. 12B)を別に示す。診断はどれか。
- ⑴ 胸腺腫胸腺腫は中高年に多く、AFPやhCGは上昇しません。抗アセチルコリン受容体抗体も陰性です。
- ⑵ 小細胞癌小細胞癌は高齢の喫煙者に多く、AFPやhCGの上昇は典型的ではありません。
- ⑶ 胚細胞腫瘍若年男性の前縦隔腫瘍でAFPとhCGが上昇しており、悪性胚細胞腫瘍が考えられます。
- ⑷ 悪性リンパ腫悪性リンパ腫も前縦隔腫瘍の原因となりますが、AFPやhCGは上昇しません。
- ⑸ サルコイドーシスサルコイドーシスは両側肺門リンパ節腫脹が典型で、AFPやhCGは上昇しません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。若年男性の前縦隔腫瘍で、臥位での症状悪化(気道・血管の圧迫)を伴い、血清AFPとhCGがともに上昇していることから、悪性の胚細胞腫瘍(非セミノーマ)が考えられます。前縦隔は性腺外胚細胞腫瘍の好発部位で、若年男性に多くみられます。画像は本文から確認できませんが、前縦隔の巨大腫瘤が想定されます。シスプラチンを含む化学療法(BEP療法)が治療の中心です。精巣の原発巣の検索も行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成