82 歳の女性。膵癌肝転移のため緩和ケア病棟に入院中である。1 週間前から食欲が…
82 歳の女性。膵癌肝転移のため緩和ケア病棟に入院中である。1 週間前から食欲が低下し、徐々に食事摂取量が減少している。体重の変化はない。意識は清明。身長150 cm、体重36 kg。体温36.2 ℃。脈拍80/分、整。血圧108/58mmHg。皮膚のツルゴールは低下している。口腔内の衛生状態は不良で、乾燥している。腹部は平坦、軟である。下腿に浮腫を認めない。血液所見:赤血球320 万、Hb 9.2 g/dL、Ht 30 %、白血球8,200、血小板23 万。血液生化学所見:総蛋白5.8 g/dL、アルブミン2.8 g/dL、AST 24 U/L、ALT 28 U/L、尿素窒素28 mg/dL、クレアチニン1.0 mg/dL。栄養サポートチーム〈NST〉に介入依頼を行うことになった。この患者に対するNST の活動で正しいのはどれか。
- ⑴ 胃瘻造設を提案する。終末期の膵癌患者に胃瘻を造設しても予後や生活の質の改善は期待しにくく、まず提案するものではありません。
- ⑵ 口腔ケアの実施を提案する。口腔内の乾燥と不衛生は食欲低下の一因となるため、口腔ケアの実施を提案するのが適切です。
- ⑶ 緩和ケアチームとは独立して活動する。NSTは緩和ケアチームと連携し、患者の目標に沿った栄養管理を行います。
- ⑷ 体重が4 kg 以上減少してから介入する。栄養障害が進んでから介入するのではなく、早期からの介入が望まれます。
- ⑸ 栄養療法の実施にあたり主治医の許諾は不要である。NSTは主治医の依頼と同意のもとで栄養療法を提案・実施します。
解説
正解は⑵です。終末期の膵癌患者で、食欲低下と脱水、口腔内の乾燥と衛生不良を認めます。口腔内の不衛生や乾燥は食欲低下や味覚障害、誤嚥性肺炎の原因となるため、栄養サポートチーム(NST)としてまず口腔ケアの実施を提案するのが適切です。NSTは主治医の依頼に基づき、主治医の同意のもとで栄養療法を提案し、緩和ケアチームなど他チームと連携して活動します。終末期では侵襲的な栄養療法より、苦痛を和らげ食べる楽しみを支える視点が大切です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成