10 か月の男児。嘔吐と血便を主訴に救急車で搬入された。昨日の正午から嘔吐を認め…
10 か月の男児。嘔吐と血便を主訴に救急車で搬入された。昨日の正午から嘔吐を認め、本日の午後4 時から胆汁性嘔吐になった。次第に元気がなくなり、血便も出現したため午後6 時に母親が救急車を要請した。意識は混濁し、痛み刺激で開眼する。体温38.7 ℃。心拍数192/分、整。血圧60/40mmHg。呼吸数44/分。SpO2 96 %(room air)。皮膚ツルゴールの低下と口唇の乾燥を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨隆し、全体に硬く、打診で鼓音を認める。血液所見:赤血球468 万、Hb 12.9 g/dL、Ht 40 %、白血球20,300、血小板15 万。CRP8.3 mg/dL。腹部エックス線写真(別冊No. 30A)と腹部超音波像(別冊No. 30B)とを別に示す。適切な治療はどれか。
- ⑴ 経過観察ショックと腹膜刺激所見を伴っており、経過観察は不適切です。
- ⑵ 抗菌薬投与抗菌薬は補助的には使用しますが、腸管壊死が疑われる状況では手術が必要です。
- ⑶ 高圧浣腸腸管壊死や穿孔が疑われるショック例では、高圧浣腸は穿孔の危険があり禁忌です。
- ⑷ イレウス管留置イレウス管による減圧では腸重積の解除や壊死腸管の処理ができません。
- ⑸ 緊急手術発症から時間が経過し、ショックと腹膜炎を伴う腸重積症では、緊急手術で整復または腸切除を行います。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。乳児が嘔吐と血便を呈し、腸重積症が疑われますが、発症から30時間以上が経過し、胆汁性嘔吐、ショック(頻脈・血圧低下)、発熱、腹部の筋性硬直を伴っています。画像は本文から確認できませんが、超音波で重積腸管、エックス線で腸閉塞像が想定されます。発症から時間が経ち、腹膜炎やショックを伴う場合は腸管壊死や穿孔が疑われるため、高圧浣腸による整復は禁忌で、輸液でショックを是正しつつ緊急手術を行います。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成