65 歳の女性。健康診断の胸部エックス線写真で異常を指摘され来院した。自覚症状は…
65 歳の女性。健康診断の胸部エックス線写真で異常を指摘され来院した。自覚症状はない。喫煙は20 本/日を45 年間、1 か月前から禁煙している。身長160 cm、体重48 kg。体温36.8 ℃。脈拍60/分、整。血圧118/64mmHg。呼吸数16/分。SpO2 99 %(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。血液所見:赤血球430 万、Hb 14.6 g/dL、Ht 45 %、白血球4,600、血小板21 万。血液生化学所見:総蛋白6.5 g/dL、アルブミン4.2 g/dL、総ビリルビン0.6 mg/dL、AST 20U/L、ALT 17 U/L、LD 180 U/L(基準124~222)、尿素窒素14 mg/dL、クレアチニン0.5 mg/dL、CEA 8.3 ng/mL(基準5 以下)。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL。呼吸機能検査:%VC 100 %、FEV1% 87 %。心電図に異常を認めない。胸部造影CT で左上葉に径2.5 cm の充実性腫瘍を認め、気管支鏡検査で左B¹⁺²から肺生検を行い腺癌と診断された。全身検索の結果、所属リンパ節転移と遠隔転移とを認めなかった。胸部エックス線写真(別冊No. 27A)、胸部単純CT(別冊No. 27B)及びFDG-PET/CT 像(別冊No. 27C)を別に示す。第一選択になる治療はどれか。
- ⑴ 抗癌化学療法Ⅰ期の手術可能な非小細胞肺癌では、化学療法単独は第一選択ではありません。
- ⑵ 左肺上葉腫瘍核出術腫瘍核出術は切除断端が不十分で局所再発率が高く、肺癌の標準術式ではありません。
- ⑶ 縦隔リンパ節郭清を伴う左肺全摘術肺全摘術は侵襲が大きく、上葉に限局する早期癌では肺葉切除で十分です。
- ⑷ 放射線治療と抗癌化学療法との併用化学放射線療法は手術不能なⅢ期などの局所進行癌に行う治療です。
- ⑸ 縦隔リンパ節郭清を伴う左肺上葉切除術臨床病期Ⅰ期の非小細胞肺癌に対する標準術式で、第一選択の治療です。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。径2.5 cmの肺腺癌で、所属リンパ節転移と遠隔転移がないため臨床病期ⅠA期であり、呼吸機能も良好で手術が可能です。日本肺癌学会のガイドライン(2025年時点)では、手術可能な臨床病期Ⅰ期非小細胞肺癌の標準術式は肺葉切除術と縦隔リンパ節郭清(またはサンプリング)です。腫瘍の核出術は再発率が高く行いません。肺全摘術は侵襲が大きく、上葉に限局する本例では不要です。化学療法や化学放射線療法は手術不能例や進行例の治療です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成