10 歳の女児。腹痛を主訴に両親に連れられて来院した。今朝から腹痛が出現し、次第…
10 歳の女児。腹痛を主訴に両親に連れられて来院した。今朝から腹痛が出現し、次第に増強してきたため受診した。3 歳時に遺伝性球状赤血球症と診断され、小児科で定期的な診察を受けていた。体温37.2 ℃。脈拍100/分、整。血圧110/58mmHg、呼吸数16/分。皮膚は黄染を認める。腹部は右季肋部に圧痛を認め、左肋骨弓下に脾を4 cm 触知する。血液所見:赤血球320 万、Hb 9.2 g/dL、Ht 33 %、白血球9,500、血小板20 万。血液生化学所見:総ビリルビン22.3 mg/dL、直接ビリルビン15.8 mg/dL、AST 125 U/L、ALT 647 U/L、 γ-GT 313 U/L(基準9 ~32)。CRP 0.9 mg/dL。腹部単純CT 水平断像(別冊No. 20A)と腹部造影CT冠状断像(別冊No. 20B)を別に示す。適切な処置はどれか。
- ⑴ 血漿交換血漿交換は肝不全などで考慮されますが、胆道閉塞による黄疸の解除にはなりません。
- ⑵ 光線療法光線療法は新生児の間接ビリルビン高値に用いる治療で、閉塞性黄疸には効果がありません。
- ⑶ 脾臓摘出術脾臓摘出は溶血の根本治療ですが、胆管閉塞の解除が優先され、緊急に行う処置ではありません。
- ⑷ 腹腔鏡下胆囊摘出術胆嚢摘出は後日検討されますが、総胆管結石による閉塞性黄疸の解除にはならず、まず胆管ドレナージを行います。
- ⑸ 内視鏡的胆管ドレナージ総胆管結石による閉塞性黄疸に対し、内視鏡的胆管ドレナージで胆汁うっ滞を速やかに解除します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。遺伝性球状赤血球症では慢性溶血によりビリルビンが増え、小児期からビリルビン結石(色素結石)ができやすくなります。本例は右季肋部痛、直接ビリルビン優位の高度黄疸、肝胆道系酵素の上昇を示しており、総胆管結石による閉塞性黄疸と考えられます。画像は本文から確認できませんが、胆管内の結石と胆管拡張が想定されます。まず内視鏡的胆管ドレナージや結石除去で胆道閉塞を解除し、その後に胆嚢摘出や脾臓摘出を検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成