35 歳の女性。上腹部痛を主訴に来院した。以前から仕事で緊張すると、上腹部痛を感…
35 歳の女性。上腹部痛を主訴に来院した。以前から仕事で緊張すると、上腹部痛を感じることがあった。6 か月前から責任のある仕事を任され、忙しくなるにつれて、食後すぐに満腹になることが多くなった。また食後に心窩部の痛みを感じることがある。身長158 cm、体重46 kg。体温36.1 ℃。脈拍88/分、整。血圧120/60mmHg。腹部は平坦、軟。腸雑音はやや亢進している。上腹部正中に軽度の圧痛を認める。尿検査と血液検査で異常を認めない。尿素呼気試験陰性。腹部超音波検査と上部消化管内視鏡検査で異常を認めない。治療薬はどれか。
- ⑴ NSAIDNSAIDは胃粘膜障害を起こし、上腹部症状を悪化させるおそれがあるため用いません。
- ⑵ 酸分泌抑制薬酸分泌抑制薬は機能性ディスペプシアの第一選択薬の一つです。
- ⑶ ニトログリセリンニトログリセリンは狭心症の治療薬で、機能性ディスペプシアには用いません。
- ⑷ グルココルチコイドグルココルチコイドは炎症性疾患の治療薬で、器質的異常のない本例には用いません。
- ⑸ グルカゴン類似ペプチド〈GLP-1〉GLP-1受容体作動薬は胃排出を遅らせ、早期飽満感などの症状をむしろ悪化させるおそれがあります。
解説
正解は⑵です。ストレスを背景に、早期飽満感と食後の心窩部痛が続いていますが、血液検査、尿素呼気試験、腹部超音波、上部消化管内視鏡で器質的疾患が見つからないことから、機能性ディスペプシアと診断できます。日本消化器病学会のガイドライン(2025年時点で用いられている2021年改訂版)では、酸分泌抑制薬と消化管運動機能改善薬(アコチアミドなど)が初期治療の第一選択です。効果が不十分なら抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬を追加します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成