56 歳の男性。吐血を主訴に夜間救急外来を受診した。夕食後から悪心が出現し、就寝…
56 歳の男性。吐血を主訴に夜間救急外来を受診した。夕食後から悪心が出現し、就寝前に暗赤色の吐血があり来院した。25 年前に肝障害を指摘され、以後毎年の健康診断で指摘されているが、受診していなかった。喫煙歴はない。飲酒は日本酒4 合/日を30 年間。意識は清明。体温36.0 ℃。脈拍112/分、整。血圧80/50mmHg。眼瞼結膜に貧血を認める。眼球結膜に黄染を認めない。口腔内は乾燥している。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。左肋骨弓下に脾を2 cm 触知する。腸雑音に異常を認めない。血液所見:赤血球274 万、Hb 7.8 g/dL、Ht 28 %、白血球9,200、血小板7.2 万。緊急上部消化管内視鏡の食道像(別冊No. 15)を別に示す。適切な治療はどれか。
- ⑴ 開腹止血術静脈瘤出血に対する開腹止血術は侵襲が大きく、内視鏡治療が優先されます。
- ⑵ クリッピングクリッピングは潰瘍の露出血管などの止血に用いますが、静脈瘤出血には適しません。
- ⑶ ステント留置術食道ステント留置術は狭窄の治療で、静脈瘤出血の標準的な止血法ではありません。
- ⑷ 内視鏡的結紮術食道静脈瘤破裂に対する止血の第一選択は内視鏡的静脈瘤結紮術です。
- ⑸ バルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術〈BRTO〉BRTOは胃腎シャントを有する胃静脈瘤に対する治療で、食道静脈瘤出血の治療ではありません。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑷です。長期の大量飲酒と未治療の肝障害、脾腫、血小板減少から肝硬変と門脈圧亢進症が考えられ、吐血とショック徴候を伴うことから食道静脈瘤破裂が疑われます。内視鏡像は本文から確認できませんが、輸液・輸血で循環を安定させつつ緊急内視鏡を行い、出血している食道静脈瘤には内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)が第一選択となります。止血困難時にはバルーンタンポナーデを一時的に用います。BRTOは胃静脈瘤に対する治療です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成