10 歳の女子。感冒時に行われた血液検査で肝障害を指摘され紹介受診した。自覚症状…
10 歳の女子。感冒時に行われた血液検査で肝障害を指摘され紹介受診した。自覚症状はない。身長137 cm、体重36 kg。体温36.8 ℃。脈拍76/分、整。血圧104/70mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。腹部は平坦、軟で、右肋骨弓下に肝を1 cm 触知する。脾は触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。尿中Cu 排泄量200 μg/日(基準80 未満)。血液所見:赤血球409 万、Hb 12.1 g/dL、白血球8,100、血小板33 万。血液生化学所見:AST 156 U/L、ALT 245 U/L、LD 308 U/L(基準145~270)、Cu 25 μg/dL(基準68~128)、セルロプラスミン12 mg/dL(基準21~37)。免疫血清学所見:CRP 0.1 mg/dL、HBs 抗原陰性、HCV 抗体陰性、抗EBV VCA IgM 抗体陰性、抗EBV VCA IgG 抗体陰性。この疾患でみられる所見はどれか。
- ⑴ 円錐角膜円錐角膜は角膜が菲薄化・突出する疾患で、アトピー性皮膚炎などと関連し、Wilson病の所見ではありません。
- ⑵ 視神経萎縮視神経萎縮はWilson病の典型所見ではありません。
- ⑶ 水晶体混濁Wilson病ではひまわり白内障をみることがありますが、特徴的な眼所見として問われるのはKayser-Fleischer輪です。
- ⑷ Kayser-Fleischer 輪角膜辺縁のDescemet膜に銅が沈着した褐色〜緑色の輪で、Wilson病に特徴的な所見です。
- ⑸ 桜実紅斑〈cherry red spot〉桜実紅斑はTay-Sachs病やNiemann-Pick病、網膜中心動脈閉塞症でみられる所見です。
解説
正解は⑷です。小児の原因不明の肝障害で、血清セルロプラスミン低値、血清銅低値、尿中銅排泄の増加を認めることからWilson病と診断できます。ATP7B遺伝子異常により胆汁中への銅排泄が障害され、肝、脳、角膜などに銅が蓄積します。角膜辺縁のDescemet膜への銅沈着がKayser-Fleischer輪で、細隙灯顕微鏡で確認します。神経症状を伴う例で特に高頻度にみられます。ひまわり白内障を伴うこともありますが、選択肢の中で特徴的なのはKayser-Fleischer輪です。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成