脊髄損傷の高位はどれか。
35 歳の男性。高所からの転落のため救急車で搬入された。現病歴 : 本日、塗装作業中に3 m の高さから転落した際、頸部、背部および腰部を強打した。下肢が動かせないため同僚が救急車を要請した。既往歴 : 15 歳時に急性虫垂炎で手術。生活歴 : 妻、長男および次男と4 人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。家族歴 : 父親が認知症で加療中である。現 症 : 意識は清明。身長172 cm、体重75 kg。体温36.5 ℃。心拍数84/分、整。血圧130/62mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。頸部から腰部にかけて疼痛を認めた。上肢の筋力は正常である。自力歩行はできない。両腸腰筋と大腿四頭筋の収縮は認められるが、関節運動は認めない。両足関節の自動運動も認めない。臍部から両下肢に感覚障害を認めた。膝蓋腱反射とアキレス腱反射は両側に減弱を認めた。
脊髄損傷の高位はどれか。
- ⑴ 第6 頸髄上肢の筋力低下を伴うはずで、上肢筋力が正常な本例とは合いません。
- ⑵ 第1 胸髄手の内在筋の筋力低下を伴うはずで、本例とは合いません。
- ⑶ 第5 胸髄感覚障害の上限は乳頭付近となり、臍部とは合いません。
- ⑷ 第10 胸髄臍部はT10の皮膚分節に当たり、感覚障害の上限と一致します。
- ⑸ 第1 腰髄感覚障害の上限は鼠径部付近となり、臍部とは合いません。
解説
正解は⑷です。高所からの転落後に、上肢の筋力は正常で、両下肢の高度な麻痺があり、臍部から下の感覚障害を認めることから、胸髄レベルの脊髄損傷と考えられます。臍部の高さは第10胸髄(T10)の皮膚分節に当たるため、感覚障害の上限から損傷高位は第10胸髄と判断されます。第6頸髄や第1胸髄の損傷では上肢の筋力低下が、第5胸髄では乳頭より下の感覚障害が、第1腰髄では鼠径部より下の感覚障害がみられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成