84 歳の男性。尿勢低下と尿失禁を主訴に来院した。以前から尿勢低下を認めていたが…
84 歳の男性。尿勢低下と尿失禁を主訴に来院した。以前から尿勢低下を認めていたが、1 週間前から尿失禁もみられるようになった。身体所見では、下腹部膨隆を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球、白血球を認めない。腹部超音波検査による残尿測定で膀胱内に400 mL の尿貯留を認め、前立腺体積は60 mL であった。まず、自己導尿を勧めた。併用する薬物治療で行われるのはどれか。3 つ選べ。
- ⑴ α1 遮断薬前立腺と膀胱頸部の平滑筋を弛緩させ、尿道抵抗を下げます。
- ⑵ β3 刺激薬過活動膀胱の治療薬で、膀胱収縮を抑え尿閉を悪化させるおそれがあります。
- ⑶ 抗コリン薬膀胱の収縮を抑制し、尿閉を悪化させるため用いません。
- ⑷ 5 α 還元酵素阻害薬前立腺を縮小させ、大きな前立腺肥大症に有効です。
- ⑸ PDE5〈phosphodiesterase 5〉阻害薬平滑筋の弛緩作用により前立腺肥大症の排尿障害を改善します。
解説
正解は⑴と⑷と⑸です。前立腺肥大症(前立腺体積60 mL)による排尿障害で、残尿400 mLの慢性尿閉と溢流性尿失禁を呈しています。自己導尿とともに、尿道の抵抗を下げるα1遮断薬、前立腺を縮小させる5α還元酵素阻害薬(デュタステリド)、前立腺や膀胱頸部の平滑筋を弛緩させるPDE5阻害薬(タダラフィル)を併用します。抗コリン薬とβ3刺激薬は膀胱の収縮を抑えて排尿障害や尿閉を悪化させるため、本例では用いません。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成