82 歳の女性。数日前からの呼吸困難を主訴に来院した。肺結核後遺症による慢性呼吸…
82 歳の女性。数日前からの呼吸困難を主訴に来院した。肺結核後遺症による慢性呼吸不全で在宅酸素療法(鼻カニューラ0.5 L/分)を受けており、3 週間前の定期受診時はSpO2 92 %(鼻カニューラ0.5 L/分 酸素投与下)であった。発熱はなく少量の痰がある。意識は清明。体温36.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧130/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 86 %(鼻カニューラ0.5 L/分 酸素投与下)。呼吸音は両側でcoarse crackles を聴取する。下腿浮腫を認める。動脈血ガス分析(鼻カニューラ0.5 L/分 酸素投与下)はpH 7.32、PaCO2 60 Torr、PaO2 55 Torr、HCO3⁻30 mEq/L であった。次に行うべき治療はどれか。
- ⑴ 気管挿管意識清明で喀痰も少なく、まずはNPPVを試みるのが適切です。
- ⑵ 非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉意識が保たれた高二酸化炭素血症の呼吸性アシドーシスに適しています。
- ⑶ 短時間作用性β2 刺激薬吸入気道の攣縮を示す所見がなく、主な治療にはなりません。
- ⑷ グルココルチコイド点滴静注喘息やCOPD増悪の要素がなく、主な治療とはなりません。
- ⑸ リザーバー付マスク10 L/分酸素投与高濃度酸素はCO2ナルコーシスを招くおそれがあり、不適切です。
解説
正解は⑵です。肺結核後遺症による慢性Ⅱ型呼吸不全の患者で、呼吸困難の増悪、低酸素血症、PaCO2 60 Torrの高二酸化炭素血症とpH 7.32の呼吸性アシドーシス(HCO3⁻の上昇で一部代償)を認め、慢性呼吸不全の急性増悪と考えられます。意識は清明で痰も少量であり、呼吸筋の負担を軽減し換気を補助するため、非侵襲的陽圧換気(NPPV)が適切です。高濃度の酸素投与はCO2ナルコーシスの危険があります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成