80 歳の女性。1 か月前に自宅近くの病院で肺癌および多発骨転移と診断された。本…
80 歳の女性。1 か月前に自宅近くの病院で肺癌および多発骨転移と診断された。本人の強い希望で薬物による抗癌治療などの積極的な治療はせず、自宅にて訪問診療を受けている。トイレに行くことはできるが、日中も主にベッド上で過ごしている。65 歳時に夫と死別してから独居である。息子はいるが遠方に住んでおり、ほとんど会うことはない。表情は硬く、自宅を訪問するスタッフとも会話をすることが少ないという。ある日、訪問診療に訪れた医師に、患者は「もう終わりにしたいです」と訴えた。患者のこの言葉に対する医師の最初の返答で適切なのはどれか。
- ⑴ 「緩和ケア病棟への入院を検討しましょう」気持ちを聴く前に療養場所の話に移るのは、最初の返答として不適切です。
- ⑵ 「すぐに安楽な死を迎えられる薬剤を準備します」我が国では認められておらず、倫理的にも法的にも不適切です。
- ⑶ 「身体の症状で、いま一番つらい症状を教えてください」身体症状の確認も重要ですが、まずは言葉の背景にある気持ちを聴くことが先です。
- ⑷ 「おつらいですね、もう少しお気持ちをお話しいただけますか」共感を示し、つらさの背景を語ってもらう開かれた質問で、最初の返答として適切です。
- ⑸ 「そんなことをおっしゃらずに、もう少し頑張ってみましょう」患者の訴えを否定し、気持ちを表出する機会を奪うため不適切です。
解説
正解は⑷です。終末期の癌患者が「もう終わりにしたい」と訴えた場合、まずはその言葉の背景にある身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルな苦痛を理解するため、つらさに共感を示し、気持ちを話してもらうよう促す開かれた質問を行います。安楽死につながる薬剤の準備は我が国では認められず、励ましや否定は患者の思いを閉ざします。症状の確認や緩和ケア病棟の提案は、気持ちを十分に聴いた後に検討します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成