72 歳の女性。①尿量の減少を主訴に来院した。4 日前から嘔吐と下痢があり食事量…
72 歳の女性。①尿量の減少を主訴に来院した。4 日前から嘔吐と下痢があり食事量が低下していた。2 日前から全身倦怠感が出現し、今朝から尿量が減少したため受診した。12 年前から高血圧症で降圧薬を内服している。身長154 cm、体重48 kg(2 週間前の体重51 kg)。脈拍108/分、整。血圧100/52mmHg。口腔内は乾燥している。胸部と腹部の診察で異常を認めない。尿所見:蛋白1 +、潜血(-)、沈渣に赤血球1 ~3 /HPF、白血球1 ~2 /HPF、円柱はない。尿生化学所見:②尿Na 10mEq/L。血液所見:赤血球300 万、③Hb 10.0 g/dL、Ht 31 %、白血球9,200、血小板35 万。血液生化学所見:尿素窒素70 mg/dL、④クレアチニン2.5 mg/dL(1 か月前の採血では0.9 mg/dL)、Na 138 mEq/L、⑤K 5.5 mEq/L、Cl98 mEq/L。下線部のうち、急性腎障害の原因の鑑別に有用なのはどれか。
- ⑴ ①尿量減少は腎前性、腎性、腎後性いずれでもみられ、原因の鑑別には役立ちません。
- ⑵ ②尿Na低値は腎前性急性腎障害を示唆し、原因の鑑別に有用です。
- ⑶ ③貧血は急性腎障害の原因の鑑別に直接役立つ所見ではありません。
- ⑷ ④クレアチニン上昇は急性腎障害の診断に使いますが、原因の鑑別には役立ちません。
- ⑸ ⑤高カリウム血症は腎機能低下の結果としてみられ、原因の鑑別には役立ちません。
解説
正解は⑵です。嘔吐と下痢による体液喪失、体重減少、口腔乾燥、頻脈、血圧低下があり、急性腎障害の原因として腎前性が疑われます。尿中Na濃度は腎前性と腎性(急性尿細管壊死)の鑑別に有用で、腎前性では腎がNaを保持しようとするため尿Naが20 mEq/L未満と低値になり、FENaも1%未満となります。本例の尿Na 10 mEq/Lは腎前性を示唆します。尿量減少、貧血、クレアチニン上昇、高カリウム血症はいずれの原因でもみられます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成