26 歳の女性。血便と腹痛を主訴に来院した。1 週間前に家族で焼き肉を食べた。3…
26 歳の女性。血便と腹痛を主訴に来院した。1 週間前に家族で焼き肉を食べた。3 日前から血便と腹痛が出現し、自宅で様子を見ていたが改善せず、反応が乏しくなったことを心配した家族に連れられて来院した。健康診断で異常を指摘されたことはない。意識レベルはJCSⅠ-2。身長163 cm、体重52 kg。体温38.2 ℃。脈拍96/分、整。血圧96/60mmHg。SpO2 96 %(room air)。皮膚は乾燥している。腹部は平坦で、腸雑音は減弱している。下腹部正中に軽度の圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体2 +、潜血1 +。血液所見:赤血球325 万、Hb 9.4 g/dL、白血球8,700、血小板5.2 万。血液生化学所見:総蛋白7.2 g/dL、アルブミン3.8 g/dL、総ビリルビン1.0 mg/dL、AST 19 U/L、ALT 19 U/L、LD 326 U/L(基準124~222)、尿素窒素50 mg/dL、クレアチニン4.2 mg/dL、Na 138 mEq/L、K 3.1 mEq/L、Cl 102 mEq/L。CRP 5.0 mg/dL。末梢血塗抹標本で破砕赤血球を認める。診断はどれか。
- ⑴ 感染後糸球体腎炎感染後糸球体腎炎は溶連菌感染後に血尿、浮腫、高血圧で発症し、破砕赤血球や血小板減少は伴いません。
- ⑵ 溶血性尿毒症症候群血便の先行後に破砕赤血球を伴う溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害がみられ、HUSの典型像です。
- ⑶ 急速進行性糸球体腎炎急速進行性糸球体腎炎は血尿と蛋白尿を伴い、破砕赤血球や血小板減少は特徴的ではありません。
- ⑷ 播種性血管内凝固〈DIC〉DICでも血小板減少をきたしますが、血便後の急性腎障害と溶血の三徴はHUSに特徴的です。
- ⑸ 全身性エリテマトーデス〈SLE〉若年女性でも、血便の先行と破砕赤血球からはSLEよりHUSが考えやすいです。
解説
正解は⑵です。焼き肉の摂取から数日後に血便と腹痛が出現しており、腸管出血性大腸菌(O157など)感染症が考えられます。その後、破砕赤血球を伴う溶血性貧血(LD上昇)、血小板減少、急性腎障害の三徴を認め、溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断できます。志賀毒素が血管内皮を障害して微小血管に血栓を形成することが病態です。意識障害は脳症の合併を示唆し、重症の徴候です。治療は輸液や透析などの支持療法が中心で、止痢薬は使用を避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp250428-01.html)を加工して作成