86 歳の男性。胸部の違和感を主訴に来院した。夕食後、薬を内服する際に違和感があ…
86 歳の男性。胸部の違和感を主訴に来院した。夕食後、薬を内服する際に違和感があった。その後も違和感が持続し軽快しないため受診した。高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症、前立腺肥大症、脊柱管狭窄症による腰痛、不眠症および逆流性食道炎に対して内服加療中である。両眼の白内障手術を予定している。一人暮らしで、身の回りのことは自分で行っている。意識は清明。身長160cm、体重50 kg。体温36.6 ℃。脈拍80/分、整。血圧146/88mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98 %(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。腸雑音に異常を認めない。上部消化管内視鏡検査では食道内に異物があり、胃内に落としたのち把持鉗子を用いて回収した。上部消化管内視鏡の胃体部像(別冊No. 15)を別に示す。再発防止のために適切な対応はどれか。
- ⑴ 胃瘻造設嚥下機能は保たれており、誤飲防止のための胃瘻造設は過剰で不適切です。
- ⑵ 経鼻胃管留置不要な侵襲を伴い、日常生活を妨げるため不適切です。
- ⑶ 処方する内服薬の一包化PTPシートからの取り出しが不要となり、誤飲を防ぐ有効な対策です。
- ⑷ 内服薬の注射薬への変更一人暮らしの在宅患者で現実的でなく、多剤の内服薬すべての変更はできません。
- ⑸ PTP(錠剤やカプセル剤の包装)を1 錠ずつ切り離す小片になると誤飲しやすくなるため、1錠ずつ切り離さないよう指導します。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶です。多剤を内服している高齢者が、内服時に違和感を自覚し、食道内に異物を認めたことから、PTP包装シートの誤飲が考えられます。PTPシートは鋭利な角があり食道や消化管の損傷・穿孔を起こし得ます。再発防止には、薬をシートから出して服用時点ごとに1袋にまとめる一包化が有効です。PTPを1錠ずつ切り離すとかえって誤飲しやすくなるため避けるべきとされています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-01.html)を加工して作成