生後10週の男児。在胎39週で出生した。母乳で順調に育っているが、健康診査で顔色…
生後10週の男児。在胎39週で出生した。母乳で順調に育っているが、健康診査で顔色がやや白いと言われた。血液検査でヘモグロビンが9.8 g/dLであった。出生時は17.0 g/dLだった。網赤血球はやや少なく、赤血球の大きさや形に異常はない。黄疸や肝脾腫はなく、体重は順調に増えている。この貧血についての説明として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 鉄が著しく不足しているので、すぐに鉄剤の大量投与を始める。正期産児では胎内で蓄えた鉄があり、この時期の貧血は生理的なものです。赤血球の大きさも正常です。
- ⑵ 出生後に赤血球の産生が一時的に減る生理的な変化である。出生後は酸素の取り込みが増えてエリスロポエチンが減り、生後2〜3か月にヘモグロビンが最も低くなります。
- ⑶ 赤血球が壊されすぎているので、溶血の原因を詳しく調べて輸血する。黄疸や肝脾腫はなく、網赤血球の増加もないため、溶血は考えにくいです。
- ⑷ 母乳が原因なので、母乳をやめて粉ミルクに切り替える。この時期の貧血は生理的なもので、母乳をやめる必要はありません。
- ⑸ 骨髄の造血が止まる重い病気なので、骨髄移植の準備を始める。体重は順調に増え、ほかの異常もなく、骨髄の重い病気を示す所見はありません。
解説
出生後に酸素が十分になって赤血球の産生が一時的に減る生理的な変化で、治療は要らないと説明するのが適切です。胎児は低い酸素の環境で多くの赤血球をもっていますが、出生後は肺呼吸で酸素が十分になり、エリスロポエチンの分泌が減って赤血球の産生が一時的に低下します。胎児期の赤血球の寿命も短いため、生後2〜3か月にヘモグロビンが最も低くなります。これを乳児の生理的貧血といい、その後自然に回復します。
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