72歳の男性。2年前に前立腺癌に対して、体の外から前立腺に放射線を当てる治療を受…
72歳の男性。2年前に前立腺癌に対して、体の外から前立腺に放射線を当てる治療を受け、経過は良好であった。数か月前から、排便のたびに少量の鮮やかな赤い血が混じるようになった。腹痛はなく、大腸内視鏡検査で、直腸の前壁の粘膜に細い血管が多数広がっていた。腫瘍はない。最も考えられる原因はどれか。
- ⑴ 前立腺癌が直腸に広がって粘膜を破った腫瘍からの出血内視鏡で腫瘍はなく、経過も良好です。腫瘍の浸潤は考えにくい所見です。
- ⑵ 照射の範囲に入った直腸の粘膜に、遅れて生じた放射線による障害前立腺への照射の数か月から数年後に、近くの直腸の粘膜に血管の拡張と出血が起こることがあります。
- ⑶ 放射線で骨髄が傷ついて血小板が減り、粘膜から出血した局所の照射で全身の血小板が減るとは考えにくく、内視鏡の所見は局所の血管の変化を示します。
- ⑷ 細菌の感染による急性の腸炎で、粘膜がただれて出血した感染性腸炎では下痢や腹痛を伴い、数か月続く少量の出血と血管の拡張とは合いません。
- ⑸ 放射線治療の直後から始まった急性の放射線による腸炎急性の反応は照射中から直後に起こり、多くは数週で治まります。2年後の出血は晩期の障害です。
解説
照射の範囲に入った直腸の粘膜に、遅れて生じた放射線による障害が最も考えられます。放射線治療の合併症には、照射中から直後に起こり多くは回復する急性の反応と、数か月から数年たって現れる晩期の障害があります。前立腺への照射では、すぐ後ろにある直腸の前壁にも放射線がかかり、晩期に粘膜の血管が拡張して出血する放射線性直腸炎が起こることがあります。出血が続く場合は内視鏡で止血などを行います。
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