58歳の男性。2日前から黒い便が出ていると受診した。仰臥位で脈拍84/分、血圧1…
58歳の男性。2日前から黒い便が出ていると受診した。仰臥位で脈拍84/分、血圧124/76 mmHgであった。座位になってもらうと、ふらつきを訴え、脈拍118/分、血圧100/62 mmHgとなった。この変化が示す状態として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 脈を遅くする神経が強く働き、体を起こした直後に脈拍が遅くなって気が遠くなっている。迷走神経の反射なら脈拍は遅くなります。この男性では脈拍は大きく増えています。
- ⑵ 体を起こした緊張で交感神経が過剰に働き、一時的に血圧と脈拍がともに上がっている。この男性では血圧は下がっています。緊張による反応では説明できません。
- ⑶ 心臓の弁が硬くなって血液が流れにくくなり、座位で雑音が強くなっている。雑音の所見はなく、黒い便という出血を示す経過から、弁の病気よりも血液の減少を考えます。
- ⑷ 血液中の酸素が足りず、体を起こすと呼吸数が増えて脈拍も速くなっている。酸素不足を示す所見はありません。体位による血圧の低下は循環血液量の不足を示します。
- ⑸ 出血によって循環血液量が減り、体を起こすと心臓に戻る血液が足りなくなっている。体位を変えたときの脈拍の大きな増加と血圧低下は、循環血液量の減少を示す所見です。
解説
出血によって循環血液量が減り、体を起こすと心臓に戻る血液が足りなくなっていることを示します。黒い便は上部消化管からの出血を疑わせます。仰臥位では脈拍と血圧が保たれていても、体を起こしたときに脈拍が大きく増え、血圧が下がる場合は、循環血液量が減っているサインです。体位による変化を確かめることで、臥位のバイタルサインだけでは見逃しやすい出血の程度を推し量れます。
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