56歳の女性。1か月前に入浴中、右の乳房にしこりがあることに気づいた。痛みはない…
56歳の女性。1か月前に入浴中、右の乳房にしこりがあることに気づいた。痛みはない。診察で、右乳房の外側上方に直径2 cmの硬いしこりを触れ、表面はでこぼこして周りと境目がはっきりしない。腕を上げると、しこりの上の皮膚が小さくへこむ。この所見から最も考えるべきものはどれか。
- ⑴ 皮膚の毛穴が詰まって皮脂がたまり、袋状にふくらんだもの皮膚の嚢腫は皮膚の中にあり、乳腺の奥の硬いしこりや皮膚のひきつれとは異なります。
- ⑵ 月経の周期に合わせて大きさが変わり、張って痛む乳腺の変化乳腺症のしこりは月経周期で変化し、痛みを伴うことが多く、皮膚のへこみは起こりません。
- ⑶ 授乳中に乳汁がたまって細菌が増え、赤く腫れて痛む炎症乳腺炎は授乳期に発熱と痛みを伴って起こります。痛みのない硬いしこりとは異なります。
- ⑷ 若い女性に多い、表面がなめらかでよく動く良性の腫瘍線維腺腫は弾力のあるなめらかなしこりで、よく動きます。皮膚のへこみは伴いません。
- ⑸ 乳腺の上皮から生じ、周りの組織に入り込んで広がる悪性の腫瘍硬く境目が不明瞭で、皮膚のひきつれを伴うしこりは、周囲に浸潤する乳癌を強く疑わせる所見です。
解説
乳腺の上皮から生じ、周りの組織に入り込んで広がる悪性の腫瘍、すなわち乳癌を最も考えるべきです。痛みのない硬いしこりで、表面が不整で周囲との境目がはっきりしないこと、癌が乳房を支える組織を引き込んで皮膚がへこむことは、乳癌を強く疑わせる所見です。閉経前後の年代にも多くみられます。マンモグラフィや超音波検査で調べ、針を刺して組織を採り、診断を確かめます。
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