78歳の男性。1年前から息切れと足のむくみが続いている。数年前に両手の手根管症候…
78歳の男性。1年前から息切れと足のむくみが続いている。数年前に両手の手根管症候群の手術を受けた。心エコーで左室の壁が全体に厚くなっているが、心電図では各誘導の波の振れ幅がむしろ小さい。高血圧の既往はない。心臓の病気の成り立ちとして最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 長年の高血圧に耐えるため、心筋の細胞そのものが太くなっている。高血圧の既往はなく、心筋が肥大していれば心電図の電位はむしろ高くなります。
- ⑵ ウイルスが心筋に感染して炎症が起き、数日で急に悪くなっている。1年かけてゆっくり進む経過は、急性の心筋炎とは異なります。
- ⑶ 大量の飲酒で心筋が傷み、左室が大きく広がって薄くなっている。アルコールによる心筋症では左室が拡大し、壁が厚くなる所見とは逆です。
- ⑷ 異常なたんぱくが心筋の間にたまり、壁が厚く硬くなっている。壁が厚いのに心電図の電位が低いことと手根管症候群の既往は、アミロイドの沈着による心アミロイドーシスを示します。
- ⑸ 冠動脈が詰まって心筋の一部が壊死し、薄い瘢痕に置き換わっている。心筋梗塞の瘢痕では壁は薄くなり、全体に厚くなる所見とは合いません。
解説
異常なたんぱくが線維となって心筋の間にたまり、壁が厚く硬くなっている心アミロイドーシスが最も考えられます。アミロイドが心筋の間に沈着すると、心エコーでは壁が厚く見えますが、心筋そのものは増えていないため、心電図の電位はむしろ低くなります。この食い違いが大きな手がかりです。高齢の男性に多い型では、手根管症候群が心臓の症状より先に現れることがあり、特殊な核医学検査や生検で診断します。
当サービスが作成したオリジナル問題です。実際の試験問題ではありません。