60歳の男性。アルコール性肝硬変で通院している。この1か月でお腹が張ってきた。仰…
60歳の男性。アルコール性肝硬変で通院している。この1か月でお腹が張ってきた。仰向けで腹部を打診すると、へその周りは鼓音で、両側の脇腹はにぶい音がする。次に右を下にして横になってもらうと、上になった左の脇腹のにぶい音が鼓音に変わった。この所見が示すものとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 膀胱に尿がたまり、下腹部がドーム状に張っている。膀胱の充満では下腹部の正中が濁音になり、脇腹の濁音が体位で移ることはありません。
- ⑵ 肝臓が大きく腫れて、右の脇腹まで広がっている。肝臓の腫大による濁音は体の向きを変えても移動しません。
- ⑶ 腸の中にガスがたまり、腸管が全体に膨らんでいる。腸管のガスでは腹部全体が鼓音になり、体位による濁音の移動は見られません。
- ⑷ 皮下の脂肪が厚くなり、打診の音が伝わりにくい。皮下脂肪は体位によって移動せず、濁音の範囲も変わりません。
- ⑸ 腹腔内に自由に動く液体がたまり、低い方へ移動している。体の向きで濁音の範囲が移るのは、腹腔内に自由に動く腹水がたまっていることを示します。
解説
腹腔内に自由に動く液体、すなわち腹水がたまっていることを示します。仰向けでは腹水は脇腹の方へ集まり、ガスを含む腸は上に浮くため、へその周りが鼓音、脇腹が濁音になります。体の向きを変えると腹水が低い方へ移動するため、上になった側の濁音が鼓音に変わります。この所見を移動性濁音といいます。肝硬変では門脈圧の上昇や低アルブミン血症によって腹水がたまります。
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