78歳の女性。肺炎で入院し、抗菌薬を使って1週後に水様下痢が1日に6回みられるよ…
78歳の女性。肺炎で入院し、抗菌薬を使って1週後に水様下痢が1日に6回みられるようになった。便の検査でクロストリディオイデス・ディフィシルの毒素が陽性であった。この患者の病室を出るときに医療者が行う手指衛生として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 手袋を外したあと、アルコール手指消毒薬を十分な量すり込んで乾かす。アルコールは芽胞に効きにくく、この菌に対しては手洗いの代わりになりません。
- ⑵ 退室後に医療者自身が予防のための抗菌薬を内服し、保菌を防ぐ。医療者への予防内服は行いません。抗菌薬はかえってこの菌が増える原因になります。
- ⑶ ポビドンヨードで手指を消毒し、色が消えるまで時間をおいて退室する。手指衛生の基本は石けんと流水による手洗いで、芽胞に対してヨードの消毒は確実ではありません。
- ⑷ 病室の中で高性能のマスクを着け、退室後に室外で外して廃棄する。空気感染する病原体への対策で、便を介して広がるこの菌への手指衛生にはなりません。
- ⑸ 手袋を外したあと、流水と石けんで手を洗い、物理的に菌を洗い流す。この菌の芽胞はアルコールで死滅しにくいため、流水と石けんで洗い流すことが必要です。
解説
手袋を外したあと、流水と石けんで手を洗うのが最も適切です。抗菌薬の使用後に起こる下痢の原因として多いこの菌は、芽胞をつくり、アルコール手指消毒薬では死滅しにくい性質があります。そのため、手袋とガウンを使う接触予防策に加えて、手洗いで物理的に菌を洗い流します。病室の環境の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使います。便を介して広がるため、マスク中心の対策では防げません。
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