28歳の男性。けんかで左の前胸部を刃物で刺され、救急搬送された。血圧76/58 …
28歳の男性。けんかで左の前胸部を刃物で刺され、救急搬送された。血圧76/58 mmHg、脈拍128/分。頸静脈が怒張し、心音が遠く聞こえる。息を吸うと収縮期血圧が大きく下がる。両側の呼吸音は左右差がない。最も考えられる病態と、直ちに行う処置の組合せとして最も適切なのはどれか。
- ⑴ 左心不全で肺水腫が起きており、利尿薬を大量に投与する。利尿薬で前負荷を減らすと、心タンポナーデでは心拍出量がさらに落ちて悪化します。
- ⑵ 大量の出血で循環血液量が減っており、輸血を急ぐ。出血性ショックでは頸静脈は虚脱します。頸静脈の怒張は心臓への流入の障害を示します。
- ⑶ 心膜腔に血液がたまっており、心嚢穿刺や開胸で血液を抜く。血圧低下、頸静脈怒張、心音減弱、奇脈がそろう心タンポナーデで、心膜腔の血液を除いて心臓の拡張を回復させます。
- ⑷ 胸腔に空気がたまっており、左胸腔を穿刺して脱気する。緊張性気胸では患側の呼吸音が消失しますが、この患者では呼吸音に左右差がありません。
- ⑸ 心筋梗塞が起きており、冠動脈造影を急いで行う。刺創の直後の所見で、冠動脈の閉塞ではなく心臓の周りへの出血を考えます。
解説
心膜腔に血液がたまった心タンポナーデで、心嚢穿刺や開胸で血液を抜くのが最も適切です。前胸部の刺創の後に、血圧低下、頸静脈の怒張、心音の減弱がそろい、吸気で収縮期血圧が大きく下がる奇脈が見られます。心膜腔にたまった血液が心臓を外から圧迫し、拡張を妨げて心拍出量が落ちています。直ちに血液を除き、損傷した心臓の修復には開胸手術が必要になります。
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