66歳の男性。朝起きた時から右の手足が動かしにくいため受診した。右上下肢に筋力低…
66歳の男性。朝起きた時から右の手足が動かしにくいため受診した。右上下肢に筋力低下があり、右の上腕二頭筋反射と膝蓋腱反射が左より亢進している。右足の裏を外側に沿ってこすると、母趾がゆっくり背屈し、ほかの指が扇状に開いた。感覚障害は明らかでない。これらの所見から障害されていると考えられる経路はどれか。
- ⑴ 運動の協調を担い、同じ側の手足を調整する小脳の経路小脳の障害では運動の協調がくずれますが、筋力低下や病的反射は起こりません。
- ⑵ 左の大脳皮質から脊髄へ下行し、運動の指令を伝える経路右半身の筋力低下、腱反射の亢進、病的反射の出現は、左大脳から下行する錐体路、つまり上位運動ニューロンの障害を示します。
- ⑶ 手足の位置や振動の感覚を脳へ伝える脊髄後索の経路後索の障害では位置覚や振動覚が低下し、筋力低下や反射の亢進は主な所見になりません。
- ⑷ 神経の末端から筋へ興奮を受け渡す神経筋接合部の経路神経筋接合部の障害では疲れやすさが特徴で、片側の反射亢進や病的反射は生じません。
- ⑸ 脊髄の前角から右の手足の筋へ至る末梢の運動神経下位運動ニューロンの障害では腱反射は低下し、病的反射は出ません。この患者の所見とは逆です。
解説
左の大脳皮質から脊髄へ下行する運動の経路、つまり錐体路の障害と考えられます。右半身の筋力低下に、腱反射の亢進と、足底をこすったときに母趾が背屈する病的反射を伴うのは、上位運動ニューロンの障害の特徴です。錐体路は延髄で交叉するため、右半身の症状は左の大脳の病変で起こります。下位運動ニューロンの障害では反射は低下し、病的反射は出ません。
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