30歳の初妊婦。妊娠30週の妊婦健康診査で、ヘモグロビン値が妊娠前の13.0 g…
30歳の初妊婦。妊娠30週の妊婦健康診査で、ヘモグロビン値が妊娠前の13.0 g/dLから10.8 g/dLに下がっていると分かった。自覚症状はない。妊娠中の生理的な変化としてこの検査値の低下を説明するのはどれか。
- ⑴ 子宮の増大で脾臓に赤血球が多くたまる。子宮の増大で脾臓に赤血球がたまるという機序はありません。値の低下は血液の希釈によります。
- ⑵ 胎盤から出るホルモンが骨髄での造血を抑える。妊娠中は赤血球量もむしろ増加します。骨髄の造血が抑えられることが原因ではありません。
- ⑶ 胎児に流れた赤血球が母体に戻らなくなる。母体と胎児の血液は胎盤で隔てられており、母体の赤血球が胎児へ移ることはありません。
- ⑷ 血漿量の増え方が、赤血球量の増え方を上回る。妊娠中は血漿量が赤血球量より大きく増えるため、血液が薄まりヘモグロビン値が下がります。
- ⑸ 腎臓でのエリスロポエチン産生が止まる。妊娠中にエリスロポエチンの産生が止まることはなく、むしろ増加して赤血球量を増やします。
解説
血漿量の増え方が赤血球量の増え方を上回ることが原因です。妊娠中は循環血液量が増え、なかでも血漿量の増加が大きいため、赤血球量も増えているにもかかわらず血液が薄まり、ヘモグロビン値が下がります。これは生理的な変化で、水血症とも呼ばれます。造血の抑制やエリスロポエチン産生の停止は起こらず、母体の赤血球が胎児へ移ることもありません。
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