80歳の男性。大腸癌に対して手術を勧められた。認知機能に問題はなく、手術の利点と…
80歳の男性。大腸癌に対して手術を勧められた。認知機能に問題はなく、手術の利点と危険性について十分な説明を受けて理解したうえで、「この年齢で大きな手術は受けたくない」と述べた。家族は手術を強く希望している。担当医の対応として最も適切なのはどれか。
- ⑴ 手術を受けない場合は当院での診療を終了し、紹介状を作成して転院を勧める。治療を拒んだことを理由に診療を打ち切るのは、患者を見捨てることになり不適切です。引き続き最善の医療を提供します。
- ⑵ 本人の判断を尊重し、手術以外の治療法や症状を和らげる方法を示して話し合いを続ける。判断能力のある患者が十分な説明のうえで下した決定は、自律尊重の原則から尊重されます。代替案を示し対話を続けることが求められます。
- ⑶ 医学的に手術が最善であるため、担当医の判断で手術の準備を進める旨を伝える。医師が最善と考える治療でも、本人の意思に反して進めるのはパターナリズムであり、自律尊重の原則に反します。
- ⑷ 家族が希望しているため、家族から手術の同意書を得て手術日を決める。判断能力のある本人の決定を、家族の同意で置き換えることはできません。代諾は本人に判断能力がない場合の手続きです。
- ⑸ 倫理委員会に手術の実施を申請し、委員会の承認をもって本人の意思に代える。倫理委員会は判断能力のある患者の決定を覆すための場ではありません。本人の自己決定権が優先されます。
解説
本人の判断を尊重し、手術以外の選択肢を示して話し合いを続けるのが適切です。判断能力があり、十分な説明を理解したうえでの拒否は、自律尊重の原則に基づき尊重されます。家族の希望や医師の判断で本人の決定を覆すことはできません。一方で、治療を拒んだ患者を見放すことも許されず、化学療法や症状緩和など他の方法を提示し、気持ちの変化にも応じられるよう関係を保つことが大切です。
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