スマトリプタンはセロトニン(5-HT)受容体のアゴニストとして薬効を発揮するが、…
45 歳女性。慢性的に片頭痛を繰り返しており、現在、処方1 及び2 の薬剤を服用している。病院再診時、患者の片頭痛日誌を確認したところ、月4 回以上通勤できないほどの片頭痛発作があった。医師は処方2 の薬剤を変更するため、病院薬剤師に薬剤の選択について意見を求めた。(処方1 )スマトリプタンコハク酸塩錠50 mg 1 回1 錠頭痛時 10 回分(10 錠)(処方2 )バルプロ酸ナトリウム徐放錠200 mg 1 回1 錠(1 日2 錠)1 日2 回 朝夕食後 28 日分
スマトリプタンはセロトニン(5-HT)受容体のアゴニストとして薬効を発揮するが、受容体のサブタイプによって結合の強さが異なる。³H 標識した5-HT を用いた結合実験により、スマトリプタンはヒト5-HT 受容体のうち5-HT1D 受容体と最も強く結合することがわかっている。スマトリプタンが結合していない5-HT1D受容体をR、スマトリプタンの遊離形をS、スマトリプタンと5-HT1D 受容体の結合形をRS とし、R とS は次のように1:1 で反応するものとする。R + S ― RSスマトリプタンの総濃度([S]+[RS])と5-HT1D 受容体の総濃度([R]+[RS])がともに100 nmol/L であるとき、5-HT1D 受容体のうちスマトリプタンが結合した割合が0.80 とすると、この反応の解離定数 Kd に最も近いのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ 0.20 nmol/L0.20 nmol/Lは比の扱いを誤った値です。Kd=20×20/80=5.0 nmol/Lです。
- ⑵ 0.80 nmol/L0.80 nmol/Lは結合割合をそのまま用いた値で、解離定数ではありません。
- ⑶ 5.0 nmol/LKd=[R][S]/[RS]=20×20/80=5.0 nmol/Lとなるので正答です。
- ⑷ 80 nmol/L80 nmol/Lは結合形[RS]の濃度で、解離定数ではありません。
- ⑸ 100 nmol/L100 nmol/Lは総濃度で、解離定数ではありません。
解説
正解は⑶です。受容体の総濃度100 nmol/Lのうち結合した割合が0.80なので、[RS]=80 nmol/L、遊離受容体[R]=100−80=20 nmol/Lです。スマトリプタンの総濃度も100 nmol/Lなので、遊離形[S]=100−80=20 nmol/Lとなります。解離定数はKd=[R][S]/[RS]=20×20/80=5.0 nmol/Lです。Kdが小さいほど受容体への親和性が高いことを示します。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198928.html)を加工して作成