この患者のB 型肝炎ウイルス関連検査結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2…
54 歳女性。数ケ月前より、咽頭痛及び頸部リンパ節腫脹を認めた。精査の結果、悪性リンパ腫(びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫)と診断され、初回治療としてR-CHOP 療法を開始するために入院となった。化学療法施行前にB 型肝炎ウイルスのスクリーニング検査を実施したところ、次の検査結果であったため、以下の処方が開始となった。(検査結果)HBs 抗原(-)、HBc 抗体(+)、HBs 抗体(+)、HBV-DNA 量25 IU/mL(基準値20 IU/mL)(処方)エンテカビル錠0.5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠)1 日1 回 就寝前 7 日分
この患者のB 型肝炎ウイルス関連検査結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ HBs 抗原は、エンベロープに含まれる抗原であり感染の指標となる。HBs抗原はウイルス粒子のエンベロープに存在する抗原で、陽性であればHBVに現在感染していることを示します。
- ⑵ HBc 抗体(+)、HBs 抗体(+)という検査結果は、この患者が過去に組換え体HBs 抗原タンパク質を成分とするB 型肝炎ワクチンを接種したためである。ワクチン接種ではHBs抗体のみが陽性になります。HBc抗体陽性は実際にウイルスに感染した既往を示します。
- ⑶ この患者のHBs 抗体を6 ケ月後に再測定して陽性であっても、B 型肝炎ウイルスキャリアとはいえない。キャリアはHBs抗原が6か月以上持続陽性の状態です。HBs抗体陽性は感染防御抗体であり、キャリアの根拠になりません。
- ⑷ HBs 抗原(-)、HBc 抗体(+)という検査結果から、この患者は急性肝炎と判断される。急性肝炎ではHBs抗原が陽性で、IgM型HBc抗体が高値となります。HBs抗原陰性の本例は既往感染と考えられます。
- ⑸ HBV-DNA の検査では、宿主細胞の染色体内に挿入されたウイルスDNA のみが定量される。HBV-DNA検査は血中のウイルスDNAを定量するもので、宿主染色体に組み込まれたDNAのみを測るものではありません。
解説
正解は⑴と⑶です。HBs抗原はウイルスのエンベロープに含まれる抗原で、陽性なら現在の感染を示します。この患者はHBs抗原陰性、HBc抗体陽性、HBs抗体陽性であり、過去にB型肝炎ウイルスに感染して治癒した既往感染と考えられます。キャリアはHBs抗原が6か月以上陽性の状態を指すため、HBs抗体が陽性でもキャリアとはいえません。ただしHBV-DNAが検出されており、リツキシマブを含む化学療法による再活性化を防ぐためエンテカビルが投与されています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198926.html)を加工して作成