検査部で、患者の痰から分離・同定した緑膿菌を培養し、薬剤感受性試験としてディスク…
65 歳女性。体重50 kg。術後肺炎と診断され、喀痰から緑膿菌が検出された。医師の指示により、シプロフロキサシン注射液が静脈内投与された。
検査部で、患者の痰から分離・同定した緑膿菌を培養し、薬剤感受性試験としてディスク法を実施した。ディスク法の説明寒天培地に一定量の菌を均一に広げた後、上にディスク(一定量の抗菌薬を染み込ませたろ紙)を置いて培養する方法(図1 参照)。ディスクから培地に拡散した抗菌薬によって菌の発育阻止円ができ、その直径を測定する。多剤耐性緑膿菌の場合、判定に用いる抗菌薬(β-ラクタム系、フルオロキノロン系及びアミノ配糖体系の3 系統)の種類と判定に適した濃度は決められており、指定の条件で一定時間培養後、生じた阻止円の直径をもとに、感受性か耐性かを判断する。図1培養開始時のプレート 抗菌薬IPM を 抗菌薬AMK を含むディスク 含むディスクI AX緑膿菌を均一に含む層I A寒天培地A:アミカシン(AMK)C - C:シプロフロキサシン(CPFX)I:イミペネム(IPM)Y X:抗菌薬XY:抗菌薬Y-:薬物無し今回は、この患者由来の緑膿菌と通常の緑膿菌基準株を用いた。また、指定されたイミペネム(IPM)、シプロフロキサシン(CPFX)、アミカシン(AMK)の3剤に加え、抗菌薬XとYも調べた。その結果を図2 に示す。図2培養後のプレート基準株 患者由来X XI A I AC - C -Y Y本試験とその結果に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 本法は、微量液体希釈法よりも最小発育阻止濃度(MIC)を算出するのに適している。MIC を算出するには、段階希釈した薬剤で発育を調べる微量液体希釈法の方が適しています。
- ⑵ 阻止円の直径が大きいほど、その抗菌薬への感受性が高い。阻止円の直径が大きいほど、その抗菌薬への感受性が高いと判断します。
- ⑶ この患者より単離した緑膿菌は、多剤耐性菌である。指定された3系統の抗菌薬すべてに耐性を示すため、患者由来株は多剤耐性緑膿菌と判定されます。
- ⑷ 抗菌薬Xは、この患者の治療薬候補になる。患者由来株では抗菌薬Xに対して有効な阻止円が形成されておらず、治療薬の候補にはなりません。
- ⑸ 抗菌薬Yは、この患者の治療薬候補にはならない。患者由来株でも抗菌薬Yの周囲には阻止円が形成されており、治療薬の候補になり得ます。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑵と⑶です。ディスク法では、ディスクから拡散した抗菌薬によって菌の発育が阻止された範囲が阻止円となり、阻止円の直径が大きいほどその薬に対する感受性が高いと判断します。患者由来株でイミペネム、シプロフロキサシン、アミカシンの3系統すべてに阻止円がほとんど形成されなければ、多剤耐性緑膿菌と判定されます。MIC の算出には微量液体希釈法の方が適しています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成