処方されたコロイド性静脈注射用鉄剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ…
20 歳女性。身長158 cm、体重38 kg。貧血症状に対して入院加療することになった。入院時の所見は次のとおりであり、注射剤による治療が開始された。(身体所見)体温36.3 ℃、血圧108/62 mmHg、脈拍数95 拍/分(整)、顔面蒼白(検査所見)白血球数3,500/μL、赤血球数240 × 10⁴/μL、Hb 6.0 g/dL、Ht 21%、血小板数22 × 10⁴/μL、血清鉄(SI)3.4 μg/dL、総鉄結合能(TIBC)360 μg/dL、フェリチン8.9 ng/mL、AST 18 IU/L、ALT 16 IU/L、総ビリルビン0.4 mg/dL、直接ビリルビン0.2 mg/dL(処方)含糖酸化鉄注射液40 mg/2 mL(注) 1 回2 管1 日1 回 午前9 時 静脈注射(注) コロイド性静脈注射用鉄剤、[Fe(OH)3]m[C12H22O11]n、pH 9.0~10.0、1 管2 mL は鉄として40 mg に相当
処方されたコロイド性静脈注射用鉄剤に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- ⑴ 疎水コロイドを形成する水酸化鉄(Ⅲ)を糖で安定化させた鉄剤である。疎水コロイドの水酸化鉄(Ⅲ)を糖で覆って安定化させた鉄剤です。
- ⑵ 静脈注射後、コロイドはすぐに不安定化し、鉄イオンが遊離する。静注後はコロイドとして細網内皮系に取り込まれ、徐々に鉄が遊離して利用されます。すぐに不安定化するわけではありません。
- ⑶ コロイドを不安定化させないように、希釈する場合はpH の変化に注意する必要がある。pH が変化するとコロイドが不安定化して凝集するため、希釈時には pH の変化に注意が必要です。
- ⑷ 希釈する場合は、イオン強度を上げるために塩化ナトリウム液を加えて5 %以上の塩濃度を維持する。電解質を加えてイオン強度を上げると疎水コロイドは凝析します。希釈には糖液を用います。
解説
正解は⑴と⑶です。含糖酸化鉄は、疎水コロイドである水酸化鉄(Ⅲ)の粒子の表面を糖(白糖)が保護コロイドのように覆って安定化させた製剤で、pH 9〜10 で安定に分散しています。疎水コロイドは電解質や pH の変化によって凝集しやすいため、希釈する場合は pH の変化に注意し、10〜20%ブドウ糖液を用います。静注後はコロイドのまま細網内皮系に取り込まれ、徐々に鉄が利用されます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成