分配係数は、薬物の脂溶性の指標として用いられる。ある1 価の弱酸HA(pKa 5…
分配係数は、薬物の脂溶性の指標として用いられる。ある1 価の弱酸HA(pKa 5.3)がpH 5.0 の緩衝液中に溶解している。この緩衝液200 mL に水と混ざり合わない有機溶媒100 mL を加えてHA を1 回抽出したところ、抽出率は75%であった。この弱酸HA の分配係数 KD(有機溶媒中の分子形の濃度 / 緩衝液中の分子形の濃度)に最も近い値はどれか。1つ選べ。ただし、温度は一定で、混合により有機溶媒と緩衝液の体積に変化はなく、イオン形(解離形)は有機層に移行しないものとする。また、10⁰.³ = 2 とする。
- ⑴ 4.04.0 は体積比や解離の補正を誤った値で、抽出率75%と矛盾します。
- ⑵ 5.05.0 は計算過程を誤った値で、正しい KD にはなりません。
- ⑶ 6.06.0 は見かけの分配比で、イオン形を含む全濃度に対する値です。分子形の割合2/3 で補正していません。
- ⑷ 7.07.0 は解離の補正を誤った値で、正しい KD にはなりません。
- ⑸ 9.0見かけの分配比6 を分子形の割合2/3 で割ると、KD=9.0 になります。
解説
正解は⑸です。pH 5.0 では[A⁻]/[HA]=10^(pH-pKa)=10⁻⁰·³=1/2 なので、緩衝液中の HA 全体のうち分子形は2/3 です。抽出率75%より、有機層と水層の量比は3:1 です。有機層の濃度を Co とすると Co×100:Cw×200=3:1 から Co/Cw=6 となり、これは分子形とイオン形の合計に対する見かけの分配比です。分子形濃度は Cw の2/3 なので、KD=6÷(2/3)=9.0 となります。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198924.html)を加工して作成