この患者の症状を引き起こした病原体として考えられるのはどれか。1つ選べ。
成人男性のHIV 感染症患者が、発熱や乾性咳嗽の症状を訴え外来受診した。身体所見として、頭痛、嘔吐などの中枢神経症状はなかった。胸部X 線検査で、両側びまん性のすりガラス陰影が認められた。この患者のCD4 陽性リンパ球数は、120/μL であった。なお下図は、感染時からの経過時間とCD4 陽性リンパ球数との関係に、CD4 陽性リンパ球数の減少に伴って発症する日和見感染症を示したものである。帯状疱疹500 結核L) ― カポジ肉腫/μ200 ニューモシスチス肺炎カンジダ症クリプトコッカス髄膜炎トキソプラズマ脳炎サイトメガロウイルス網膜炎CD4 陽性リンパ球数( 50 非定型抗酸菌症悪性リンパ腫HIV 脳症感染時からの経過時間図 感染時からの経過時間とCD4 陽性リンパ球数の関係
この患者の症状を引き起こした病原体として考えられるのはどれか。1つ選べ。
- ⑴ カンジダカンジダは口腔や食道のカンジダ症を起こすのが典型で、両側びまん性のすりガラス陰影を示す肺炎の原因としては考えにくいです。
- ⑵ クリプトコッカスクリプトコッカスはCD4がより低いときに髄膜炎を起こし、頭痛や嘔吐を伴うことが多いですが、患者に中枢神経症状はありません。
- ⑶ サイトメガロウイルスサイトメガロウイルスはCD4が50/μL未満で網膜炎などを起こすことが多く、この症状とは合いません。
- ⑷ トキソプラズマトキソプラズマは脳炎を起こして中枢神経症状を示すことが多く、この患者には当てはまりません。
- ⑸ ニューモシスチスCD4が200/μL未満で、発熱、乾性咳嗽、両側びまん性すりガラス陰影を示すニューモシスチス肺炎が考えられます。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑸です。この患者はCD4陽性リンパ球数が120/μLと200/μLを下回っており、発熱、乾性咳嗽、胸部X線での両側びまん性すりガラス陰影がみられることから、ニューモシスチス・イロベチー(真菌)によるニューモシスチス肺炎が最も考えられます。CD4陽性リンパ球数が200/μL未満になると発症しやすく、ST合剤で治療・予防します。クリプトコッカスやトキソプラズマは頭痛や嘔吐などの中枢神経症状を伴うことが多く、サイトメガロウイルスはより少ないCD4数で網膜炎を起こします。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198923.html)を加工して作成