60歳の男性。2型糖尿病でインスリン製剤を使っており、夏の旅行中に車の中に置いて…
60歳の男性。2型糖尿病でインスリン製剤を使っており、夏の旅行中に車の中に置いてよいかと質問された。薬剤師は、タンパク質が熱で変性する過程を熱力学で説明しようとした。ある変性の過程の標準エンタルピー変化を+300 kJ/mol、標準エントロピー変化を+0.96 kJ/(K・mol)とし、これらは温度によらず一定とする。この変性が自発的に進むようになる温度の条件として、正しいのはどれか。
- ⑴ 約0.31 Kより高い温度エンタルピーとエントロピーの単位をそろえずに計算しています。
- ⑵ 温度によらず自発的に進まないエントロピーが増える吸熱過程なので、十分に高い温度では自発的に進みます。
- ⑶ 約313 Kより高い温度ΔG=ΔH-TΔSが負になるのはT>300÷0.96=312.5 Kのときで、約39℃を超える温度です。
- ⑷ 約313 Kより低い温度低い温度ではTΔSが小さく、ΔGは正のままなので変性は自発的に進みません。
- ⑸ 約0.0032 Kより高い温度エントロピー変化をエンタルピー変化で割っており、比の向きが逆です。
解説
正解は⑶です。過程が自発的に進むかどうかは、ギブズエネルギー変化ΔG=ΔH-TΔSの符号で決まります。タンパク質の変性は、ほどけることで乱雑さが増すためΔSが正で、結合が切れるためΔHも正の吸熱過程です。ΔGが負になる条件はT>ΔH÷ΔSで、300÷0.96=312.5 K、すなわち約39℃を超えると変性が自発的に進みます。このため、インスリン製剤は高温になる車内などに放置しないよう説明します。
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