海外渡航歴のある30歳の男性が、粘液と血液の混じった便をくり返し、大腸の内視鏡検…
海外渡航歴のある30歳の男性が、粘液と血液の混じった便をくり返し、大腸の内視鏡検査で多数の潰瘍がみられた。便から赤痢アメーバの栄養型が検出された。この患者の治療に用いる薬と、その作用の組み立てとして適切なのはどれか。
- ⑴ アルベンダゾールを用い、虫体のチューブリンの重合を妨げて糖の取り込みを止めさせる。アルベンダゾールは包虫症などの蠕虫感染に用いる薬で、原虫の赤痢アメーバの第一選択ではありません。
- ⑵ イベルメクチンを用い、無脊椎動物の神経や筋の塩化物イオンチャネルに作用して麻痺させる。イベルメクチンは糞線虫症や疥癬に用いる薬で、赤痢アメーバには用いません。
- ⑶ プラジカンテルを用い、虫体の外皮でカルシウムの透過性を高めて筋を強く収縮させる。プラジカンテルは住血吸虫や条虫などの吸虫・条虫類に用いる薬です。
- ⑷ メトロニダゾールを用い、嫌気的な環境で還元されて生じる物質で原虫のDNAを傷害する。メトロニダゾールは嫌気性の原虫内で還元されて活性化し、DNAを障害して殺原虫作用を示します。
- ⑸ ピランテルを用い、虫体の神経筋接合部を脱分極させて麻痺させ、便とともに排出させる。ピランテルは蟯虫や回虫などの線虫類の駆除に用いる薬です。
解説
正解は⑷です。赤痢アメーバ症は、嚢子に汚染された飲食物や性的接触によって感染し、大腸に潰瘍をつくって粘血便を起こします。肝臓に膿瘍をつくることもあります。治療にはメトロニダゾールが用いられ、嫌気的な代謝をもつ原虫の中でニトロ基が還元され、生じた反応性の物質がDNAを傷害します。服用中の飲酒でジスルフィラム様の反応が起こることがあるため、飲酒を控えるよう説明します。他の4つは蠕虫や外部寄生虫に用いる薬です。
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