ある医薬品の原薬には、化学構造が同じで結晶の分子の並び方が異なる複数の結晶形が知…
ある医薬品の原薬には、化学構造が同じで結晶の分子の並び方が異なる複数の結晶形が知られている。このうち準安定形の結晶を用いた錠剤について、正しいのはどれか。
- ⑴ 安定形より融点が高く、粉砕すると溶解度が下がって、消化管からの吸収が遅くなる。準安定形は安定形より一般に融点が低く、粉砕によって溶解度が下がるわけではありません。
- ⑵ 非晶質と同じく分子の配列に規則性がなく、粉末X線回折で鋭い回折ピークを示さない。準安定形も結晶なので分子は規則正しく並び、回折ピークを示します。
- ⑶ 水和物と同じく結晶の中に水分子を含み、乾燥させると無水物の安定形に変わる。結晶多形は水分子を含まない結晶形の違いで、水和物とは区別されます。
- ⑷ 安定形より溶解度が大きいが、保存中に安定形へ転移すると溶出が遅くなるおそれがある。準安定形は自由エネルギーが高く溶けやすい一方、時間とともに安定形へ転移して溶解性が下がることがあります。
- ⑸ 安定形と化学構造が異なるため、体内に吸収されたあとで別の薬理活性を示すことがある。結晶多形は化学構造が同じで、溶けて吸収されたあとの作用は同じです。
解説
正解は⑷です。結晶多形は、化学構造が同じで結晶中の分子の配列が異なるものです。準安定形は安定形より自由エネルギーが高いため、溶解度や溶解速度が大きく、融点は一般に低くなります。そのため吸収がよくなることがある一方、保存中の温度や湿度によって安定形へ転移すると溶出が遅くなり、効果が変わるおそれがあります。非晶質は規則的な配列をもたず、水和物は結晶中に水を含む点で、結晶多形とは区別されます。
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