腎移植後の拒絶反応を防ぐ目的で、タクロリムスが処方された。タクロリムスの作用機序…
腎移植後の拒絶反応を防ぐ目的で、タクロリムスが処方された。タクロリムスの作用機序として、正しいのはどれか。
- ⑴ イノシン一リン酸脱水素酵素を阻害してプリンヌクレオチドの合成を妨げ、リンパ球の増殖を抑える。プリン合成の酵素を阻害するのはミコフェノール酸モフェチルの作用です。
- ⑵ ジヒドロ葉酸還元酵素を阻害して葉酸の活性型を減らし、増殖する細胞のDNA合成を抑える。葉酸代謝の阻害はメトトレキサートの作用で、タクロリムスの機序ではありません。
- ⑶ 哺乳類ラパマイシン標的タンパク質の働きを阻害し、インターロイキン2の刺激によるT細胞の増殖を止める。この標的タンパク質を阻害するのはエベロリムスなどで、タクロリムスの作用点とは異なります。
- ⑷ 結合タンパク質と複合体をつくってカルシニューリンを阻害し、T細胞のインターロイキン2産生を抑える。タクロリムスは結合タンパク質との複合体でカルシニューリンを阻害し、T細胞の活性化を抑えます。
- ⑸ B細胞の表面にあるCD20に結合し、抗体依存性細胞傷害などによってB細胞を取り除く。CD20に結合するのはリツキシマブで、タクロリムスは主にT細胞に作用します。
解説
正解は⑷です。タクロリムスはT細胞の中で特定の結合タンパク質と複合体をつくり、脱リン酸化酵素であるカルシニューリンを阻害します。その結果、転写因子が核内へ移行できなくなり、インターロイキン2などのサイトカイン遺伝子の転写が抑えられて、T細胞の活性化と増殖が妨げられます。シクロスポリンも同じくカルシニューリンを阻害しますが、結合するタンパク質が異なります。腎障害などの副作用があるため血中濃度を測定して用います。
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