解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを一度に大量に服用した患者で、翌日以降に重い肝障害…
解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンを一度に大量に服用した患者で、翌日以降に重い肝障害が現れた。このとき肝障害が起こる主なしくみとして、正しいのはどれか。
- ⑴ 酸化的代謝で生じた反応性代謝物が、グルタチオンの枯渇後に肝細胞のタンパク質と結合するため。通常は抱合されるが、大量ではCYPによる反応性代謝物が増え、グルタチオンを使い切ると肝細胞を障害します。
- ⑵ 未変化体が肝臓のシクロオキシゲナーゼを強く阻害し、肝臓の血流が低下して虚血が起こるため。アセトアミノフェンの末梢でのシクロオキシゲナーゼ阻害は弱く、肝血流の低下による虚血は主な機序ではありません。
- ⑶ 生成したグルクロン酸抱合体が胆汁中に高い濃度で排泄され、胆管の上皮細胞を直接障害するため。グルクロン酸抱合体は無毒な代謝物で、肝障害の原因となるのは酸化的代謝で生じる反応性代謝物です。
- ⑷ 代謝されて生じたサリチル酸が肝臓に蓄積し、ミトコンドリアの酸化的リン酸化を脱共役させるため。サリチル酸はアスピリンの代謝物で、アセトアミノフェンからは生じません。
- ⑸ 薬物に対する抗体が体内でつくられ、肝細胞がアレルギー反応によって免疫学的に破壊されるため。過量服用による肝障害は用量に依存する中毒性のもので、免疫反応による障害とは異なります。
解説
正解は⑴です。アセトアミノフェンは通常量ではおもにグルクロン酸抱合と硫酸抱合を受けて排泄され、一部がシトクロムP450によって反応性の高い代謝物に変わります。この代謝物はグルタチオン抱合で無毒化されますが、大量に服用すると抱合が飽和して反応性代謝物が増え、グルタチオンが枯渇すると肝細胞のタンパク質と結合して壊死を起こします。解毒には、グルタチオンの材料を補うアセチルシステインが用いられます。
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