補酵素Aのチオール基に酢酸が結合したアセチルCoAは、生体内でアセチル基の供与体…
補酵素Aのチオール基に酢酸が結合したアセチルCoAは、生体内でアセチル基の供与体として働く。この働きを化学的な性質から説明したものとして、最も適切なのはどれか。
- ⑴ 末端のチオール基が強い塩基として働き、受け手の分子からプロトンを奪う。チオール基は弱い酸で、強い塩基ではありません。また、アセチル基と結合しているので遊離していません。
- ⑵ アセチル基がリン酸無水物結合で結ばれており、加水分解で直接放出される。リン酸無水物結合をもつのはATPなどです。アセチル基はチオエステル結合で結ばれています。
- ⑶ 硫黄は酸素より電気陰性度が大きく、カルボニル炭素の正電荷を強めている。硫黄の電気陰性度は酸素より小さいです。反応性の高さは共鳴の弱さで説明します。
- ⑷ チオエステル結合は酸素エステルより共鳴の安定化が小さく、アシル基を渡しやすい。硫黄の3p軌道とカルボニルの重なりが小さいため共鳴安定化が弱く、求核攻撃を受けやすくなります。
- ⑸ 分子内のジスルフィド結合が還元されると、アセチル基が遊離して渡される。アセチルCoAのアセチル基はジスルフィド結合ではなく、チオエステル結合でつながっています。
解説
最も適切なのは、チオエステル結合の共鳴安定化が小さいという説明です。酸素エステルでは酸素の非共有電子対がカルボニル基と共鳴して安定化しますが、硫黄は原子が大きく軌道の重なりが小さいため、この安定化が弱くなります。そのためチオエステルのカルボニル炭素は求核攻撃を受けやすく、加水分解の自由エネルギー変化も大きいので、アセチル基を他の分子へ渡す反応が進みやすくなります。
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