86 歳の男性。上顎右側臼歯部の疼痛を主訴として来院した。2 か月前に自覚し、徐…
86 歳の男性。上顎右側臼歯部の疼痛を主訴として来院した。2 か月前に自覚し、徐々に増悪してきたという。心房細動、2 型糖尿病、慢性腎臓病の既往があり、直接トロンビン阻害薬とスルホニル尿素薬を服用している。診察の結果、上顎右側第二小臼歯の抜去を行うこととした。初診時のエックス線画像(別冊No. 24)を別に示す。医科への対診による血液検査の結果を表に示す。赤血球: 400 万/μL白血球: 3,700/μL血小板: 36 万/μLeGFR: 35 ml/min/1.73 m²HbA1c: 6.0%抜歯時の適切な対応はどれか。2 つ選べ。
- ⑴ 血小板の補充血小板数は36万/μLで正常であり、血小板の補充は必要ありません。
- ⑵ PT-INR の測定PT-INRはワルファリンの効果判定に用いる指標で、直接トロンビン阻害薬の効果は適切に評価できません。
- ⑶ 当日の食事摂取状況の確認スルホニル尿素薬服用中は、食事が摂れていないと低血糖の危険があるため確認します。
- ⑷ アモキシシリン水和物の減量投与eGFR 35と腎機能が低下しているため、腎排泄型のアモキシシリンは減量して投与します。
- ⑸ 酸性非ステロイド性抗炎症薬の投与酸性NSAIDsは腎血流を低下させて腎機能を悪化させるおそれがあり、慢性腎臓病では避けます。
この問題は別冊の図版(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は⑶と⑷です。スルホニル尿素薬は食事量にかかわらずインスリン分泌を促すため、抜歯当日に食事が摂れていないと低血糖を起こす危険があり、食事摂取状況を確認します。eGFR 35と腎機能が低下しているため、腎排泄型のアモキシシリンは減量して投与します。服用中の直接トロンビン阻害薬(ダビガトラン)の効果はPT-INRに反映されないため測定の意義は乏しく、血小板数は正常で補充は不要です。酸性NSAIDsは腎機能を悪化させるおそれがあり避けます。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-02.html)を加工して作成