35歳の女性。下顎左側第二大臼歯の治療のため、下顎孔伝達麻酔を行った。数分後に、…
35歳の女性。下顎左側第二大臼歯の治療のため、下顎孔伝達麻酔を行った。数分後に、左側の眼を閉じることができず、左側の口角が下がり、額にしわを寄せられなくなった。この症状が起こった原因として最も考えられるのはどれか。
- ⑴ 針先が前方の側頭筋の付着部に当たり、筋の中に麻酔薬が注入された。側頭筋への注入では開口時の痛みなどが起こりますが、表情筋の麻痺は起こりません。
- ⑵ 麻酔薬が下顎孔に入る下歯槽神経のまわりに、予定どおり十分に浸潤した。下歯槽神経は感覚神経で、表情筋を動かす神経ではありません。
- ⑶ 針先が内側翼突筋の中に入り、筋の中に麻酔薬が注入された。内側翼突筋への注入は開口障害の原因になりますが、表情筋は麻痺しません。
- ⑷ 針先が舌神経に触れ、舌神経のまわりに麻酔薬が浸潤した。舌神経の麻酔では舌の感覚が鈍くなりますが、表情筋は麻痺しません。
- ⑸ 針先が下顎枝後縁を越えて後方へ進み、耳下腺内に麻酔薬が入った。耳下腺の中を通る顔面神経に麻酔薬が及び、一時的な顔面神経麻痺が起こります。
解説
最も考えられるのは、針先が下顎枝の後縁を越えて後方に進み、耳下腺の中に麻酔薬が注入されたことです。顔面神経は耳下腺の中を通って表情筋に分布するため、ここに麻酔薬が及ぶと、閉眼できない、口角が下がる、額にしわが寄らないといった一時的な麻痺が起こります。麻酔の作用が切れれば回復しますが、その間は角膜が乾かないよう眼を保護します。
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