問3 会話文中の A , B にあてはまる語句の組合せとして適切なものを,次の1…
生徒たちは「公共」の学習のはじまりとして,「公共的な空間」をつくる私たちの生き方や考え方 について学んでいる。問1 ~問5 に答えよ。 1 生徒Xと生徒Yが,自分の進路について会話している。 会話文 生徒X:ホームルームで「進路希望調査」があったけど,どうするか何も決まってないんだよ ね。 生徒Y:そうなんだ。私は大学に進学することにしていて,専攻は社会学か国際関係学にしよ うと思っているよ。 生徒X:もう決まっているなんて,すごいね。でも,大学に行って勉強することで,どのよう な力を身に付けることができるんだろう。卒業後に就職する企業が求める能力とは, 違ったりしないのかな。 生徒Y:私も気になって,⒜企業が求める能力等と大学での学びとの関係について資料を調べ たんだ。企業へのアンケートでは,大学生などに主体性や実行力を多くの企業が求め るようだけれど,それらは,具体的に測定するのは難しいと思うんだよね。大学生へ の調査では,授業で身に付く技術や高められる能力もあるとわかるから,大学での過 ごし方も大事だと考えたよ。 生徒X:そうだよね。大学を卒業するまでの間で,AI やテクノロジーの進歩など社会も変化 するだろうから,求められる技術や能力も変わるかもしれない。ますます,進路につ いての悩みが出てきたなぁ。 生徒Y:昨日,「公共」の授業で実存主義を学んだよね。⒝サルトルの考え方が面白いと思った から,図書室で本を借りて読んでみたらいいよ。きっと,そこに,残りの高校生活を どのように過ごしていったらいいのかのヒントがあるんじゃないかな。 先 生:今日はゴミ問題について考えてみましょう。ゴミの排出量を減らす取組みが進んでい ますが,焼却できず,リサイクルも難しいゴミは,最終処分場に廃棄されることにな ります。新たに最終処分場を設置しようとすると,有害物質による土壌の汚染や健康 被害が,設置された地区に広がるおそれがあることから,地域住民の理解が得られな いことも少なくありません。一方,最終処分場がなければ,処分できないゴミが住宅 地に放置されたり,不法に投棄されたりすることが懸念されます。いま,私たちの 「もんか高校」がある「もんか市」内にゴミの最終処分場を1 か所設置するとしたら,ど の地区が望ましいでしょうか。次の資料4 と資料5 を参考に考えてみてください。 資料4 もんか市を構成する3 地区の人口及び面積 資料5 もんか市の概略図 いろは区 ちりぬ区 もんか病院 ほへと区 もんか高校 生徒X:「ほへと区」は,設置にともなう苦痛を感じる人が,人口密度から一番少なくなること が予測できます。そこで私は, A の考え方に基づいて「ほへと区」がいいと思い ます。 生徒Y:「ほへと区」だと,私たちの学校の近くに設置されるかもしれないよね。「ほへと区」だ けは避けたいというのが私の本音。人口が3 地区の中で一番多い「ちりぬ区」は,ゴミ の排出量も他の地区に比べて多いはずだから,「ちりぬ区」が引き受ければいいんじゃ ないかな。 生徒Z:私は,こうした政策決定には道徳的な感覚も必要で,自分は嫌だから他人に押し付け よう,と考えるのは望ましくないと思います。私たちは,「公共」の授業で習った B という「思いやり」の徳などを発揮して,判断すべきではないでしょうか。 生徒Y:Zさんの言う孔子の徳を政策にあてはめて考えるならば,健康を気遣う人が多く通う 「もんか病院」のある「ちりぬ区」は候補地から外した方がいい,と判断することもでき るね。 先 生:こうして複数の観点から議論を深めることで,みんなが納得できる解決案を粘り強く 探っていくことが大切ですね。
問3 会話文中の A , B にあてはまる語句の組合せとして適切なものを,次の1 ~ 4 のうちから一つ選べ。
- 1 A:定言命法 B:仁定言命法はカントの考え方で、幸福の総量を計る立場ではありません。
- 2 A:定言命法 B:縁起考え方の名称も、孔子の徳の名称も当てはまりません。
- 3 A:最大多数の最大幸福 B:仁功利主義の最大多数の最大幸福と、孔子の説いた仁が対応します。
- 4 A:最大多数の最大幸福 B:縁起縁起は仏教の教えで、孔子の説いた徳ではありません。
この問題は問題の図(写真・図・表など)を見て答えます。図はこちらに転載していないため、下の出典のページから公式のPDFをご覧ください。解説だけでも読み取り方が分かるように書いています。
解説
正解は3です。Aには、社会全体の幸福の総量が最も大きくなるように決めるという功利主義の考え方が入るので、最大多数の最大幸福が当てはまります。定言命法はカントが示した、条件を付けずに従うべき道徳の命令です。またBは孔子の説いた「思いやり」の徳なので仁が当てはまります。縁起は仏教の教えで、すべてが互いに支え合って成り立つという考え方です。
出典:文部科学省ホームページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/kakomon/1411255_00017.htm)を加工して作成