自然科学をめぐる近年の動きなどに関する記述として最も妥当なのはどれか。
自然科学をめぐる近年の動きなどに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- ⑴ 2025年は、量子力学誕生から200年となり、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)は2025年を「国際量子科学技術年」と定め、日本物理学会は「量子フェス」と銘打ったイベントを各地で開催するなど広報活動に力を入れた。1825年は、ニュートンが重力を媒介する粒子である重力子を発見し『プリンキピア』を著した年であり、これにより素粒子など微視的物理系を支配する物理法則を中心とした物理体系である量子力学が誕生したとされている。『プリンキピア』は古典力学の書で、量子力学の誕生とは結び付きません。
- ⑵ SAF(持続可能な航空燃料)は、廃食油、原油の残渣油などの未利用の資源を原料とする燃料である。国土交通省は、航空脱炭素化推進基本方針に基づき、2030年時点の本邦エアラインによる燃料使用量の60%をSAFに置き換えることとしている。原油の残渣油から得られるナフサは、炭素元素の割合が低く硫黄元素の割合が高いため燃料としては不適であったが、脱硫処理することで、従来のジェット燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少ない燃料となり、近年、注目されている。2030年の置き換え目標は10%で、60%ではありません。
- ⑶ 2025年のノーベル生理学・医学賞を坂口志文特任教授らが受賞した。授賞理由は、「末梢性免疫寛容に関する発見」で、坂口特任教授は免疫が過剰にはたらいてしまうのを抑える制御性T細胞を発見し、自己免疫疾患やがんなどの病気の新たな治療法の開発に道を開いた。リンパ球の一種であるT細胞には、制御性T細胞やキラーT細胞などの種類があり、キラーT細胞は病原体に感染した細胞を特異的に認識して破壊するはたらきがある。制御性T細胞の発見による受賞で、T細胞のはたらきの説明も正しいです。
- ⑷ 2025年10月、農林水産省は、令和7年度産の水稲の作況指数は140を超える豊作であると発表した。令和6年度までは、前年度の単位面積当たりの収穫量(単収)を100として算出する作況単収指数を使用していたが、生産現場の実態と合わないとの指摘を受けて、令和7年度からは、過去20年間の平年値と比較する作況指数を使用することとした。イネは、生育期に比較的高温・多雨の気候を好み、春から夏にかけて栄養成長を行い、夏から秋にかけて開花・結実する長日植物である。作況指数が140を超えることはなく、イネは短日植物です。
- ⑸ ヒアリは、オーストラリア原産の大型の黒色のアリで、定まった巣をつくらず、集団で狩りをしながら移動する習性をもち、かまれるとヒトは発熱や発汗などの症状が出る。我が国では、港湾地域を中心に各地で発見が相次ぎ、2025年10月に環境省と農林水産省は、ヒアリは国内で既に定着していると判断して、生態系被害防止外来種リストの侵入予防外来種としての指定を解除し、新たに外来生物法に基づく特定外来生物に指定した。ヒアリは南アメリカ原産で、巣をつくり、すでに特定外来生物です。
解説
正解は⑶です。2025年のノーベル生理学・医学賞は、免疫の過剰なはたらきを抑える制御性T細胞を発見した坂口志文特任教授らが受賞しました。量子力学の誕生は1925年前後で、『プリンキピア』は力学の書であり量子力学とは関係がありません。SAFの割合や作況指数の説明も事実と異なり、ヒアリは南アメリカ原産の赤茶色のアリで、すでに特定外来生物に指定されています。
出典:人事院ホームページ(https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/mondairei/mondairei_15.html)を加工して作成