労働をめぐる動向などに関する記述として最も妥当なのはどれか。
労働をめぐる動向などに関する記述として最も妥当なのはどれか。
- ⑴ 2020年に施行された改正労働基準法では、全ての民間企業において、従業員の時間外労働の上限は「原則月90時間、年1,000時間」とされた。我が国の労働をめぐる歴史をみると、昭和初期に、富岡製糸場での過酷な労働環境を受けて、田中正造らの呼び掛けにより、女性の就業時間を制限する工場法を制定するための動きが見られた。しかし、資本家の反対があり、工場法が成立したのは第二次世界大戦後であった。時間外労働の上限は原則月45時間、年360時間で、工場法は明治時代に成立しました。
- ⑵ 医師や教師などの公共的な性格を有する職業は、労働基準法の適用対象外となっており、これらの職業の労働条件は、医療法などの個別の法律によって定められている。2023年に施行された改正医療法では、全ての医師について、時間外労働の上限を年2,000時間とすることが定められた。我が国の医学の歴史をみると、18世紀に蘭学が発達し、平賀源内は西洋医学の解剖書を翻訳した『解体新書』を著した。医師や教師も労働基準法の対象で、『解体新書』を訳したのは杉田玄白らです。
- ⑶ 近年、女性の就業率が出産期に下がり、育児が落ち着いた時期に再び上昇する「M字カーブ」の解消が進む一方、女性の正規雇用比率が20代後半をピークとして低下する「L字カーブ」が見られ、出産を機に女性が正規雇用として職場に戻れていないとの指摘がある。なお、我が国の女性運動をめぐる歴史をみると、明治時代に、平塚らいてうらが青鞜社を結成し、雑誌『青鞜』の創刊号には、「元始、女性は実に太陽であった」と記された。就業をめぐる二つの曲線の説明と、女性運動の歴史が正しく書かれています。
- ⑷ 2023年に施行された改正障害者雇用促進法において、民間企業の障害者の法定雇用率は、算定対象に新たに知的障害者や精神障害者を含めるとした上で、5.0パーセントへと引き上げられた。我が国の社会保障制度のうち、障害のある人に対して支援を提供する仕組みをリージョナリズムといい、1960年代には、支援促進のために障害者差別解消法が制定された。法定雇用率は5.0パーセントではなく、障害者差別解消法の制定は2010年代です。
- ⑸ 児童労働の排除など、人権尊重の取組を求める動きが民間企業に対して拡大したことや、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、世界全体で労働に従事する17歳以下の子どもの数は、2020年に推計5,000万人と、国連の調査開始以降最少となった。世界の児童労働をめぐる歴史をみると、17世紀のフランスでは、アナーキズムの思想に基づいて会社法が制定され、年少者の労働時間が制限された。児童労働に従事する子どもの数は増加しており、17世紀のフランスの記述も誤りです。
解説
正解は⑶です。女性の就業率が出産期に下がって再び上がるM字カーブの解消が進む一方、正規雇用の比率が20代後半をピークに下がるL字カーブが指摘されています。また明治時代に平塚らいてうらが青鞜社を結成し、雑誌『青鞜』の創刊号に「元始、女性は実に太陽であった」と記されました。ほかの選択肢は、法律の名前や年代、人物が入れ替わっています。
出典:人事院ホームページ(https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/mondairei/mondairei_15.html)を加工して作成